平成28年度早稲田大学法科大学院入試、刑法のポイント解説

早稲田_28年_刑法のサムネ画像です

形式

出題形式は,事例問題と一行問題の2問構成となっています。

問題1の事例問題は,事例の長さとしては比較的短いものの,触れなければならない論点は多いです。

問題2の一行問題は,例年刑法各論の論点について,各々事例を挙げて論じることが求められています。現行の司法試験において一行問題の形式が問われることはないので,独自の対策が必要となります。

解答の大枠

問題1については,3人の罪責が問われています。解答の構成としては,丙に対する罪責を中心に論じていくことになろうと思いますが,甲・乙についても,それぞれBに対する犯罪につき教唆犯が成立するか,丙との共犯関係が成立するかが問題となります。

問題2については,放火罪(109条2項,110条)の「公共の危険」について,その要件の具体的内容,及び,公共の危険の発生という事実が同罪の故意の対象となるかについて,具体例をあげながら論じることが求められています。

論点

問題1について

・甲について

Bに対する犯罪につき教唆犯が成立するかについては,共謀の射程が及んでいるかが問題となります。その判断に際しては,甲の教唆がAのみを狙う趣旨であったかという事実関係を検討する必要があるでしょう。共謀の射程が及ぶとした場合は,甲に窃盗の故意の認識しかなかったとすれば錯誤の処理が問われることになります。

・乙について

具体的には,丙による強盗致傷の実行に対して乙の因果性が及んでいるか論じる必要があります。それが認められる場合,更に乙には窃盗の故意しかなかったのではないかとして,いわゆる共犯過剰の問題を検討しなければならないでしょう。

・丙について

Aについては,窃盗の実行の着手について論じる必要があり,これを肯定した場合,窃盗を断念したことにつき中止犯の成否が問題となります。

Bについては,一項強盗か,事後強盗のいずれが成立するかを検討しなければならないでしょう。

いずれの論も成立しうると思えますが,参考となる判例として,最決昭和61年11月18日があります。

また,いずれの場合にも,丙の暴行が犯行の抑圧に足りるかについて検討する必要があります。

問題2について

放火罪における「公共の危険」という要件について,判例は,最決平成15年4月14日において110条1項の罪に対して非限定説を採用することを明らかにしています(学説上は限定説も主張されています)。いずれの見解にたつとしても,「公共の危険」の定義を示したうえで,要件が充足される状況等について具体的に論じる必要があります。

「公共の危険」の発生の認識が「故意」の内容として必要かについては,学説上必要説・不要説の対立がある。判例上は不要説を採用しており,最決昭和60年3月28日が参考になります。これらの対立を踏まえた上で,「公共の危険」の発生の認識の要否につき論じる必要があります。

総評

問題の形式は,例年事例問題と一行問題の2問構成となっています。一行問題は他のロースクールでもあまり出題がなく,独自の対策が必要となるでしょう。対策としては,大塚先生の「刑法各論の思考方法」が参考になると思います。

事例問題については,刑法総論の論点を中心に,各論についても基本的な論点を問うものが多いです。こちらについてはオーソドックスな問題であることが多いので,予備試験対策をしていれば十分に対応できると思います。

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