平成28年度早稲田大学法科大学院入試、民法のポイント解説

早稲田_28年_民法のサムネ画像です

形式

本問は、事例問題が2題あり、それぞれ2つの小問にわかれています。民法の試験時間は2時間であり、配点も大きいので、特に力を入れるべき科目であるといえます。解答用紙は、1題あたり6ページ、合計で12ページあり、司法試験よりも多くの紙幅が与えられているため、紙幅の制約はあまり気にしなくてもよいでしょう。

解答の大枠

問題1の小問(1)については、BのEに対する甲土地のE名義の登記の抹消を求めることができるかが問われています。これを所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記請求と構成して、検討していくのが適切であると考えられます。

小問(2)については、ACとDとの間の権利関係がどうなるかが問われているため、ABからの考えられる請求と、Dからの考えられる請求を双方検討することが求められていると考えられます。ACからの請求は、所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記請求権と構成することが考えられます。Dからは、Aに対し、117条に基づき無権代理人の責任を追及していくことが考えられるでしょう。

問題2の小問(1)については、AとCそれぞれに対する損害賠償請求権の成否を検討することが求められていると思われます。BからAに対しては、717条に基づき土地工作物責任を追及することが考えられます。また、BからCに対しては、709条に基づき不法行為による損害賠償請求をすることが考えられるでしょう。

小問(2)については、後遺障害を負った被害者が事実審の口頭弁論終結時までに事故とは別の原因で死亡した場合の逸失利益の扱いについて、判例を踏まえつつ論じることになると考えられます。

論点

問題1では、無権代理行為と日常家事債務、共同相続に関する基本的な論点が問われています。まず、小問(1)については、Aの行為が無権代理行為(113条1項)であることを確認したうえで、日常家事代理権(761条)を基本代理権とする表見代理(110条の趣旨の類推適用)を検討することになるでしょう。また、Eの保護という視点から、表見代理や民法94条2項の類推適用を検討することも考えられるでしょう。

小問(2)については、AとCが、無権代理人の本人の地位と甲土地の所有権を共同相続することを確認したうえで、無権代理行為の追認を拒絶することができるかを検討することになるでしょう。また、AがDに対し負う責任についても言及しましょう。

問題2の小問(1)では、土地工作物責任の成否と、709条の不法行為の成否が問題になります。ここでは、各要件にあてはめていきましょう。また、Aの責任とCの責任とが共同不法行為(719条1項前段)になるか否かも問題になります。加えて、Bの制限速度違反を理由とする過失相殺の可否についても言及しましょう。

小問(2)については、後遺障害の逸失利益を死亡時までに限る立場と、後遺障害の逸失利益を死亡時までに限らない立場の双方に言及し、理由付けをしたうえで自説を展開できると、評価が高いと考えられます。

総評

本問は、論ずべき事項が多岐にわたり、また論点相互の関係を考える必要があるため、法科大学院入試の問題としては、難易度が高い部類にあるといえるでしょう。もっとも、すべての問題を満足に論じきることのできた受験生は少ないと思われます。そこで、対策としては、問題用紙が問題1と問題2で分かれていることを利用し、できる問題から確実に得点していくことが有効だと考えられます。

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