平成28年度東京大学法科大学院入試 民事系のポイント解説

東大_28_民事系のサムネ画像です

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請負について、注文者が工事後引渡しを受けた後、仕様書と違ったにもかかわらず、請負人が修繕しないため、他の業者に依頼して仕様書通りに完成させたという事案です。小問として2問問われています。2問といっても、民事系で2問であるため、(1)は民法、(2)は民事訴訟法からの出題であるといえるでしょう。

解答の大枠

(1)について

請負債権を譲り受けたX会社からの、保証債務履行請求が問われています。ここでは、保証債務履行請求をする場合の要件事実、債権譲渡についての要件事実を挙げることが重要と思われます。そして、それに対する被告Y会社からの認否を想定しながら、抗弁にはどのようなものが考えられるかを検討することになると思われます。

(2)について

主たる債務者と保証人とを共同被告として、債権者が訴えた場合の事例です。債権譲渡契約の事実は認められないという心証を裁判所が得ています。保証債務履行請求において、債権譲渡の事実が主要事実にあたるのかの検討は必要でしょう。

主要事実にあたれば、主張立証が必要となりますが、保証人であるY会社は準備書面を出さず期日に欠席しているため、擬制自白の成否を検討し結論を出すことになりそうです。

論点

(1)について

本問での保証債務履行請求の要件事実は、主たる債務の発生原因事実、保証契約締結の事実+それが書面によること、そして、発生した債権の譲受原因事実、の指摘が必要と思われます。それに対し、抗弁として、まだ支払日がきていなければX会社の請求は認められないでしょう。

また、催告・検索の抗弁も主張できるかもしれませんが効果的な主張ではないかもしれません。さらには、建物が完成していないことや、修補に代わる損害賠償請求との同時履行や相殺の主張もできるとも考えられます。

(2)について

裁判所の心証は、債権譲渡契約締結の事実は認められないというものです。保証債務の請求にあたって、(1)で検討したように、債権譲渡の事実は、保証債務の請求をする際の主要事実であると考えることができます。主要事実であれば、証明の対象となるはずです。しかし、主たる債務者であるA会社は立証に成功していません。

また、保証人Y会社は欠席を続けています。主要事実が証明されなくても、自白が成立するなら、不要証となることを記載できるでしょう。欠席を続けていることは、相手方の主張する事実について擬制自白が成立してしまうことも指摘できそうです。

そして、主たる債務者への訴訟と、保証人への訴訟とで、矛盾する内容にならないよう、なるとしても理由づけを明確にする必要がありそうです。

総評

(1)では、民法の請負、債権譲渡について要件事実の基礎的な考え方、主張立証の構造をよく把握していることが求められる問題であったといえるでしょう。基本的な事項ですが、主張、反論をうまくかみ合わせることができるかどうかは、日ごろ民法や要件事実を紐づけて学習していたかによるところがあります。

(2)では、(1)からの続きで、訴訟に発展した場合の主張立証構造を理解しているかどうか、日ごろの学習で、証明責任がどちらにあるのかなどを、要件事実と合わせて学習できているかを見ることのできる問題であったのではないかと思われます。

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