平成26年度大阪大学法科大学院入試、刑法のポイント解説

大阪_26_刑法のサムネ画像です

形式

形式は、甲および乙の罪責に関する事例問題が1題出題されています。解答時間は刑法と刑事訴訟法で90分あります。刑事訴訟法の問題を解く時間を考えると45分以内に解答すべきですので、時間的には余裕はありません。

解答の大枠

刑法の事例問題は、論点が多いので問題となる部分については、その軽重に応じて端的に答えていく必要があるでしょう。

甲の罪責について

まず、どの行為が何罪の構成要件に該当するのかについて検討をしなければなりません。甲の行為と生じた結果に着目すると、傷害致死罪の構成要件の検討をすることになります。

次に、甲の行為がAの有形力の行使を契機になされたものであるため、正当防衛または過剰防衛の正否を検討する必要があります。

また、乙との共犯関係を前提に、乙がAを蹴った行為と、Aの腕時計を盗った行為との関係についても、検討が必要です。

乙の罪責について

乙は、甲を加勢する目的で暴行を行っていることを確認したうえで、甲との共犯関係について検討する必要があります。

そのうえで、共同正犯が成立するとした場合、甲の行為が正当防衛であれば、共犯の要素従属性の関係でどう考えるのかという点について検討をすることになります。

また、Aが倒れた後さらにAを蹴る暴行を加えた点と、Aの腕時計を盗った行為について、どの罪が成立するのかという点について共犯関係を踏まえた検討をする必要があります。

論点

甲の罪責について

時系列に沿って考えると、事実2で甲の暴行が開始されており、これが午後9時半まで継続されています。この最後の暴行が被害者Aの死因となったことが事実6に記載されています。これらの事実から、傷害致死の構成要件について端的に当てはめをして、正当防衛について検討をすることになります。

正当防衛においては、各要件のうち、急迫不正の侵害については簡潔に当てはめ、防衛の意思および相当性要件について、自己の見解を示したうえで、当てはめをすることになります。特に、本問ではAが死亡しているので、この点について相当性の要件を適切に当てはめる必要があります。この点に関しては、基本判例(最判昭44.12.4)があるので、これを参考に当てはめを行うことが期待されるところです。

本問では、乙とともに2人がかりで暴行行為に及んでいることから、防衛行為の相当性を欠くものと考えた場合、過剰防衛の正否を検討する必要があります。

Aの行為に対する防衛行為を乙とともに行為に及んでいる点に着目し、共犯関係を肯定した場合、Aが倒れた後の乙の暴行と腕時計を盗った行為について共謀の射程が及ぶか、もしくは共犯関係の終了後に新たな共謀の成立したかといった点を検討する必要があります。この点に関しても、基本判例(最判平6.12.6)を参考に検討するとよいでしょう。

乙の行為について、当初の共謀の射程が及ぶとした場合、その当時に甲はすでに現場を離れていることから、共犯からの離脱の有無が問題となります。また、当初の共謀の射程が及ばないする場合や、共犯からの離脱を認めた場合、甲に帰責される罪責が左右されるため、注意を要します。

乙の罪責について

甲との共同正犯が成立するとした場合、甲の行為が正当防衛または過剰防衛が成立すると考えるときは、要素従属性の関係が問題となります。共同正犯については、従属性の議論が妥当するかという点自体に争いがあるので、この点も踏まえた論述ができればよいですが、解答時間の関係上、従来の通説に従って、従属性の議論が妥当することを前提に端的に事案を処理しても問題ないでしょう。

甲に過剰防衛が成立するとした場合の共犯関係については、基本判例(最決平4.6.5)があるので、これを参考に乙の罪責を検討するとよいでしょう。

Aが倒れた後の行為について、端的に構成要件該当性を検討する必要があります。その際、Aの腕時計を盗った行為について、その当時はまだAは存命中であったことから、死者の占有について触れないよう事案を適切に把握する必要があります。

総評

本問は、基本論点の組み合わせの問題であり、参考とすべき基本判例も多くあるところです。日頃から基本判例の勉強をきちんとしていることを確認する意味でも良問といえるでしょう。

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