平成27年度大阪大学法科大学院入試、刑事訴訟法のポイント解説

大阪_27_刑事訴訟法のサムネ画像です

形式

刑事訴訟法は、刑法と併せて90分の解答時間が与えられており、配点もそれぞれ同じく50点ずつです。したがって、それぞれ45分が標準的な解答時間となります。

問題形式は、それほど長くない事例問題が一つと、用語説明問題が5つとなっています。ボリュームはそれほどでもないのですが、用語解説問題はあまり見慣れない形式ということもあり、時間的に余裕はないかと思われます。

解答の大枠

第1問について

第1問は捜査の適法性を論じる典型的な問題です。今回は、「アパートの室内でハンドバッグを確保したこと」、「民家の車庫内において男性を逮捕したこと」について検討することになります。

ハンドバッグの確保については、逮捕に伴う捜索差押えで適法になるのかが問題となるでしょう。

逮捕については、問題文に挙げられている追跡の経緯からみて、これが現行犯逮捕として適法になるのかを検討すれば良いかと思われます。

第2問について

5つの用語を簡潔に説明せよ、という問題です。それぞれ100字以内という指定がされているため、本当に簡潔に、要領よく説明する必要があります(twitterの文字数制限が140字であることを考えれば、書けることは非常に限られていると想像がつくかと思われます)。

論点

第1問について

ハンドバッグの確保が、逮捕に伴う捜索差押え(220条1項2号)として適法になるかどうかについては、「逮捕する場合」と言えるかどうかが問題となります。すなわち、本件では追跡の果てにアパートにたどり着き、男を逮捕しようとしたものの、男に逃げられて失敗に終わっているため、これでも「逮捕する場合」にあたるのかが問題となるのです。

これについては、逮捕の成功・不成功を問わないと読むか、それとも逮捕の完遂が要件であると解釈するのか、学説が分かれるところです。自説に従って結論を出しましょう。

逮捕については、現行犯逮捕の要件を満たすかが問題となります。本件では、追跡中に一旦犯人を見失い、その後アパートにいるのを見つけたものの、逮捕に失敗し再び追跡・・・という経緯があります。

現行犯逮捕、準現行犯ともに時間的場所的接着性が問題となりますが、本件では追跡・逮捕の過程で2回見逃しているため、認められないでしょう。

もし現行犯逮捕の要件を満たさない場合は、緊急逮捕として適法にならないかということについても検討することになります。

第2問について

①接見禁止処分の根拠は81条です。併せて「たとえ制限されても弁護士は接見可能」ということも、39条を摘示し説明すれば良いかもしれません。

②取調べの可視化については、2016年5月24日の刑事訴訟改正で一部事件の録画が義務付けられることになりましたが、この試験の当時はまだ条文にありません。取調べの根拠条文は、被疑者取調べが198条1項、参考人取調べが223条1項です。自白の強要等違法な取り調べの防止が、「可視化」の主眼ですので、319条1項あたりを入れてもいいかもしれません。

③公判前整理手続については316条の2以下に規定があります。趣旨は公判の充実・迅速化です。

④証拠の関連性は、要証事実の推認に資するかどうか問うものです。自然的関連性、法律的関連性という伝統的な分類で説明するのであれば、317 条のほか、320条等も摘示することになるでしょう。

⑤供述録取書については、198条3項、223条2項に規定があります。供述を録取した書面であるため、伝聞証拠の話も出てくるところですし、公判前整理手続における証拠開示(316条の15第1項7号)でも出てきます。

総評

第2問の用語説明問題で分かるように、大阪大学法科大学院は基本的な知識の理解度をしっかり問うているように思えます。これは他の科目についても同様です。

ですから、あまり難しいことを論じようとせず、自分の持っている基礎知識を素直に出していくことが重要になるでしょう。タイトな時間制限を考えてもそれが得策です。

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