平成27年度大阪大学法科大学院入試、憲法のポイント解説

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大阪大学法科大学院入試では憲法・行政法の2科目を90分で解答しなければなりません。設問自体は非常にシンプルですが、答案作成に慣れていないと途中答案の恐れがあるので、時間配分には十分気をつけましょう。

本問の出題分野は法科大学院入試としては珍しく統治分野のみです。統治にまで手が回っていない受験生にとってはとっつきにくいものでしたが、問われていることは基礎的なものです。

解答の大枠

本問で解答すべき事項は①衆議院解散権の所在、②解散権行使の要件です。もっとも①解散権の所在についてはそこまで争いある論点ではないので、②の論点について厚く論じるべきです。

論点

①衆議院解散権の所在

まず、解散権が形式的には天皇にあることは争いがありません(7条3号)。なのでこの点についての指摘は必須です。また、実質的な解散権の所在についても、天皇の衆議院解散権は内閣の助言と承認により行使されることから、内閣に存することで一致しています。

②解散権行使の要件

衆議院の解散権行使がどのような要件のもとで許されるかについては、大きく分けて69条限定説と69条非限定説の2つに分けられ、さらに69条非限定説は65条説、7条説、制度説に分類することができます。

69条限定説は内閣不信任決議がなされた場合に限り、解散権の行使が許されるとするものですが、これでは解散権を行使できる場合が限定されすぎるという問題点があります。

65条説は内閣は65条に基づき自由に解散できるとする説ですが、なぜ解散権が行政権に含まれるのか明確に説明できていないとの批判があります。

制度説は権力分立制や議院内閣制を根拠に解散権の自由な行使を認めますが、権力分立制や議院内閣制の内容自体が学説上争いあるので説得的でないとの批判があります。

7条説は内閣は7条3項を根拠に自由に解散できるとするものです。内閣の助言と承認により天皇の解散権行使は形式的・儀礼的行為となることを根拠としています。いずれの説に立っても十分合格答案になると思いますが、69条限定説を批判し、69条非限定説を自説に据えるのが流れとしては綺麗なように感じます。
また、解散権が認められるとしても、その行使の限界についても別途問題となります。この点、芦部先生は69条の場合を除くと、①重要案件が否決され審議未了になった場合、②内閣の性格が根本的に変わった場合、③新たな政策課題への対処が必要になった場合、④基本政策を変更する場合、⑤議員の任期満了が迫っている場合に限られるとしています。本問の場合、①②⑤に当たらないと考えられますが、③④の場合に当たるかが問題となりそうです。

総評

本問は、受験生のなかなか手が回らない統治分野からの出題でしたが、問われているのは権力分立制など原理・原則にからむ解散権の所在でしたので、難易度そのものは高いものではありません。試験対策としては本番までに統治分野についても穴を作らず、全分野を網羅的に、かつ重要でないところはメリハリ付けをして対策を講じましょう。

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