平成28年度大阪大学法科大学院入試、民法のポイント解説

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形式

形式は、問題が2題出題され、いずれも設問が2問用意されており、合計4つの問題が出題されています。第1問と第2問はそれぞれ50点の配点の合計100点満点です。いずれも事例問題ですが、解答時間は90分のため、スピーディーな解答が求められます。

解答の大枠

第1問について

設問1は、相殺に関する基本問題です。民法511条との関係で、差押債務者が有する反対債権である丙債権をもって相殺をすることができるかについて、判例の考え方に照らして15行を目安として論じることが求められます。

設問2は、離婚に伴う財産分与に関する基本問題です。財産分与の慰謝料的要素が含まれることを確認したうえで、財産分与とは別に精神的苦痛を理由とする慰謝料請求の可否について、判例の考え方に照らして10行を目安として論じることが求められます。

第2問について

設問1は、抵当権の妨害排除請求権に基づく退去請求を目的不動産である乙建物の賃借人に主張できるかという点について論じることになります。

設問2は、抵当権の実行によってEが乙建物を競落したことによって抵当権が消滅し、乙建物の新たな所有者となったEとの関係で、乙建物の賃借人の退去請求ができるかについて、CおよびDの反論を検討することになります。

論点

第1問について

設問1では、AがBの債務不履行を理由に、BがCに対する乙債権を差し押さえたところ、第三債務者CがBに対して有する丙債権をもって相殺できるかということが問題となります。

511条は、差押え後に取得した債権による相殺を禁止していますが、本問の場合、Cが自働債権として主張する丙債権は差押え前に取得したもので、また弁済期も差押え前に到来しているので、差押え前にすでに相殺適状にあった事案です。したがって、判例(最大判昭45.6.24)立場である無制限説なら当然、また制限説の立場からでも争いなく、Cは相殺の主張が可能な事案です。

設問2では、協議離婚によって財産分与がなされているところ、その後に、B妻が婚姻中にA夫から受けた暴行による精神的苦痛を理由とする慰謝料請求をすることができるかが問題となります。

ここでは、まず財産分与の慰謝料的要素を確認したうえで、本問に関する判例(最判昭46.7.23)を参考に解答する必要があります。判例の考え方によれば、すでに精神的苦痛がすべて慰謝されたと認められるときに重ねて請求することは認容されないが、慰謝するには足りないと認められるときには財産分与と重ねて慰謝料請求をする余地を認めています。判例の事案と類似する本問では、Bの慰謝料請求は認められるでしょう。

第2問について

設問1では、乙建物の占有者であるCおよびDに対する退去請求が認められるかという点について、最判平17.3.10を参考に解答することになります。その前提として、Cとの関係においては、まずBが抵当権を対抗できるのかという点を確認する必要があります。これは、抵当権と対抗力を有する賃借権の優劣の問題です。Dの占有が占有権原に基づくものであるので、この関係でBの請求が認められるかについて、検討する必要があります。

設問2では、抵当権実行後における乙建物の占有者CおよびDとの関係で、競落人であるEが退去請求できるかという点が問題となります。ここでは、Eの請求に対するC、Dの反論を検討することが求められています。ここでも、抵当権の対抗力と占有正権原の対抗力の時期のいずれが優先されるかについて論じる必要があります。

総評

例年通り、財産法だけでなく、家族法の分野からも問題が出されており、幅広い基本知識が問われています。また、第2問は抵当権の効力に関する基本問題ですが、限られた時間内で入り組んだ事情を請求との関係で法的に構成する能力が問われています。この点は、司法試験でも同様なので、非常に実戦的な問題といえるでしょう。

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