平成27年度大阪大学法科大学院入試、民法のポイント解説

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形式

形式は、問題が2題出題され、第1問では設問が2問、第2問では設問が1問の合計3つの問題が出題されています。第1問と第2問はそれぞれ50点の配点の合計100点満点です。いずれも事例問題ですが、解答時間は90分のため、スピーディーな解答が求められます。

解答の大枠

第1問について

設問1は、未成年者Aの所有する土地を、その親権者が第三者の債務の担保として抵当権を設定したところ、成年に達したAはこの抵当権設定登記を抹消することができるのかという点について検討することが求められています。ここでは、親権者の行為が利益相反行為(民法826条)にあたり、無権代理としてその効果がAに帰属しなのではないかという点について解答することになります。なお、本問では、15行を目安として答えることが指示されています。

設問2は、抵当権が設定された甲建物につき発生した賃料債権が第三者に譲渡され対抗要件も具備された後に、抵当権者がこの賃料債権を物上代位に基づいて差し押さえた場合、抵当権者と賃料債権の譲受人のいずれが本件賃料債権の弁済を受けることができるのかという点について、検討することが求められています。なお、本問では、10行を目安として答えることが指示されています。

第2問について

賃貸借されていた甲土地を譲り受けたEが、甲土地の賃借人Bに対して、本件建物の収去および甲土地の明渡しを求めた事案で、その法的根拠を複数挙げたうえで、その妥当性について検討することが求められています。

本問では、①甲土地上の建物の所有権保存登記の名義人が賃借人の長男の名義であること、②店舗用建物で使用する目的でなされた賃貸借契約に無断増改築禁止特約が付されているところ、建物賃借人が賃貸人に無断でコンビニから和風居酒屋に本件建物の工事がなされたことなどの事情があるので、これをEの主張する請求の法的根拠として何があるのかを検討する必要があります。

論点

第1問について

設問1では、Aの請求の法的根拠として、まず親権者の行為が利益相反行為(民法826条)に当たる場合の法的効果を確認すべきでしょう。これを確認したうえで、次に親権者の行為が利益相反行為に当たるかを検討することになります。判例(最判昭37.10.2、最判昭42.4.18)は、利益相反に当たるかの判断基準について、形式的判断説に立っているので、この立場から簡潔に論じれば良いでしょう。

設問2では、物上代位に基づく権利行使が「払渡し又は引渡しの前に差押え」をもってすることが必要とされていることから(民法372条・304条)、債権譲渡され対抗要件が具備された場合、これが「払渡し又は引渡し」に当たるのかという点を検討することになります。この論点については、確立した判例(最判平10.1.30)があるので、これを参考に第三債務者保護説の立場から解答すれば十分でしょう。

第2問について

本問では、まず、Eの請求を基礎づける法的根拠を複数考えることが要求されています。アプローチとしては、物権的請求と債権的請求の両面から検討することが考えられます。

物権的請求として法的に構成する場合、甲土地の所有者となったEはこれを理由に、所有権に基づく返還請求権としての建物収去土地明渡請求権の主張が考えられます。この場合、Bの反論として占有正権原として借地権(借地借家法2条1号)の主張が考えられるので、対抗力を有する借地権をBが有するかという点を検討する必要があります。

本問では、本件建物の登記名義人が賃借人のB名義ではなくC名義であることから、借地借家法10条1項が定める対抗力の要件としての「借地権者が登記されている建物」といえるかについて検討する必要があります。登記名義人が賃借人とは別人である場合、この要件を欠くというのが判例の基本的な立場ですが(最判昭41.4.27)、同居の家族名義の場合には争いがあるところなので、簡単にこの点について自説を論じる必要があるでしょう。

次に、判例の立場に立って借地権が否定されるとした場合、賃貸借契約の貸借人たる地位が甲土地とともに承継されるという反論が考えられるところです。この点にについては、状態債務である賃貸人の債務の性質から当然に賃貸人たる地位は賃貸借契約の目的物の譲受人に承継されると考えられているので、この点について簡単に確認すれば良いでしょう。

そして、このように考えた場合、および、債権的請求として甲土地の明渡しを考える場合には、次に、賃貸借契約終了に基づく甲土地の明渡請求という法的構成を検討することになります。本問の場合、無断増改築禁止特約が付されているため、建物賃借人のDの和風居酒屋のための本件工事がこれに当たるか、当たるとした場合にこれが甲土地の賃貸借契約に付された無断増改築禁止特約との関係でどうなるのかという点について検討することになります。

総評

本問では、財産法だけでなく、家族法の分野からも問題が出されており、幅広い基本知識が問われています。また、第2問は、賃貸借契約に関する紛争事例ですが、色々と事情が入り組んでおり、限られた時間内で、これらの事情を請求との関係で法的に構成する能力が問われています。この点は、司法試験でも同様なので、非常に実戦的な問題といえるでしょう。

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