平成26年度大阪大学法科大学院入試 民法のポイント解説

大阪_26_民法のサムネ画像です

形式

形式は、問題が2題出題され、それぞれ設問が2問出されているので、合計4つの問題が出題されています。第1問は設問が2つで合計40点、第2問は設問が2つで60点の配点で、90分で解答しなければならず、スピードが問われます。民法は範囲が広いため、基本知識を幅広く問う趣旨だと思われます。

解答の大枠

第1問について

設問1は、相続不動産に関する共同相続人間の問題です。①相続不動産の持ち分の過半数を有する者が、残りの持ち分を有する者の占有する相続不動産の退去を求めることができるか、②退去済みまでの使用利益相当額の返還を請求できるかについて、15行程度でまとめる必要があります。

設問2は、債権者代位権の要件・効果を問う基本的な問題です。10行程度で、本問の事案に各要件を的確に当てはめをすることが求められています。

第2問について

設問1は、不法行為に基づく損害賠償請求の問題であり、特に、どのような権利・利益を侵害し、どのような損害を発生させたといえるのかについて、解答することが求められます。

設問2は、無権代理人が本人を共同相続した事案において、無権代理行為の相手方が無権代理行為をした者に何を主張できるかについて問われています。本問は、⑴無権代理人以外の共同相続人が無権代理行為の効力を否定している場合と、⑵無権代理人が無権代理行為の効力を否定している場合について、解答することが求められます。

論点

第1問について

設問1では、相続によって共有関係にある相続財産に関する問題ですが、問われている知識は共有に関する基本事項です。少数の持ち分を有する者においても、その持ち分に応じて共有財産の全部を使用することができます(民法249条)。この基本知識を前提に、過半数の持分権者において少数持分権者に退去を求めることができるかについて解答することになります。関連判例として、最判昭63.5.20などの基本判例が有名なので、解答は容易だろうと思われます。

共有者のひとりが共有財産を単独使用して他の共有持ち分を侵害している場合、不法行為または不当利得などの法的構成に基づく請求が可能なので、その限りで使用利益についての請求が肯定されるものと思われます。いずれにしても、いずれかの法的構成に沿って、適切な要件の当てはめをする必要があります。

設問2は、債権者代位権の要件の当てはめを適切に行う必要があります。特に、無資力の要件について、その意義を明らかにしたうえで、本問との関係でなぜ無資力といえるのかを適切に論じる必要があります。他の要件については、簡潔に当てはめを行えば足りるでしょう。

第2問について

設問1は、不法行為の要件のうち、本問においてどのような権利または法律上保護される利益が侵害されたのかを検討する必要があります。本問では、医師が適切な治療をしなかったことにより、3月1日の時点で余命6か月だったところ、5月12日に死亡したということで、生命に対する侵害が考えられるところです。

損害の発生については、実務では差額説で考えられているので、死亡という損害の事実によって余命(9月)までの逸失利益について検討することが考えられます。いずれにしても、問われている事項との関係で、不法行為の要件の意義を明らかにしたうえで、適切な当てはめをすることが求められます。

設問2は、基本論点でもある無権代理と相続に関する問題です。学説も色々あるところですが、時間との関係も考えると、判例の考えに沿って、簡潔に当てはめをする必要があります。無権代理人による本人の共同相続の事例に関する判例は、司法試験(平成28年度の民事系)でも出題されており、基本判例でもあります。

まず、本人の追認拒絶権が共同相続の場合にはどうなるのかについて解答したうえで、共同相続人が追認を拒絶できるか、原則としいて追認を拒絶できるとして無権代理人が追認を拒絶することが信義則に違反しないかについて、検討することが求められます。

総評

民法の各分野から出題されており、幅広い基本知識が問われています。解答時間も90分しかない中で、すべて事例問題なので、簡潔にかつ的確な解答が求められます。この点は、司法試験でも同様なので、非常に実戦的な問題といえるでしょう。

あなたもレビューしませんか?

※先に「継続力」を理解する事が重要です。

難関な試験に合格する為には独学力を鍛えなくてはなりません。

司法試験の独学力.comでは、独学力を構成する「効率力」と「継続力」。特に独学で司法試験に合格する為の必須条件である「継続力」について解説しモチベーション向上を図ります。