平成26年度京都大学法科大学院入試、刑法のポイント解説

平成26年度刑法_京都のサムネ画像です

形式

刑法と刑事訴訟法をまとめて3時間という枠の中で検討するという形式となっています。

問題もそれぞれ事例の異なる大問が2つ出題されるため、刑法だけで90分あるといっても決して余裕があるものとはいえません。

論点としては悩ましいところもあるかもしれませんが、あまり深く検討しすぎず、他のロー入試と同様に淡々サクサクと処理していきたいところです。

解答の大枠

第1問では、乙がAの胸を片手で1回押した結果、Aが倒れ、くも膜下出血で死亡した点をどう評価するかが問われています。暴行の結果的加重犯と考えれば傷害致死罪を検討することになります。ただその後、乙は救命が必要なAを放置し死亡させた点を、不作為の殺人罪として検討することもできそうです。

甲については、Aを救命しなかった点をやはり不作為の殺人罪と検討することができそうです。両者の共同正犯も問題となりえます。

第2問では、甲と乙が、住居侵入罪と窃盗罪の共謀をした上実行したことがわかります。窃取物の財物性も論点となるでしょう。その後、甲がATMコーナーに侵入し現金を引き出そうとした点を検討すべきと思われます。これは乙との共謀を認定してよさそうです。

乙が、暴行を用いて暗証番号を聞き出した行為をどう評価するかが問題です。甲とはどこまでを共謀していたのかの検討もすべきと思われます。

論点

第1問

乙はAの胸を押すという暴行をし、結果Aが死亡しているため傷害致死罪が成立するという検討をしても良いかもしれません。もっとも、その後Aの救命可能性が確実であったことから、自らの暴行行為を先行行為として、乙にはAを救命する作為義務が発生しているともいえそうです。

乙には「楽になったら」という甲に対する言葉から、Aが死んでも良いという未必の故意は認定できるかと思われます。この検討をするなら不作為の殺人罪に傷害致死罪は吸収されることになるでしょう。

甲は、乙の息子であるため、Aを助ける作為義務があるといえます。乙に促されAを放置することにした点は、やはり不作為の殺人罪を検討することでよさそうです。

そして、甲と乙に、Aを救命しないことについての共謀が成立すると考えられるため、不作為の共謀が成立するかという点も検討することができるでしょう。

第2問

住居侵入罪と窃盗について、甲と乙に共同正犯が成立することはまず触れるべきと思われます。キャッシュカードやICカードの財物性にも触れるべきでしょう。甲がATMコーナーに侵入した点の建造物侵入、およびATM内の現金を窃取が未遂になっている点にも触れるべきでしょう。また乙とは共同正犯になる点の検討も必要といえそうです。

その後、乙が暗証番号について暴行を用いて聞き出しているが、キャッシュカードを併せ持っている点から、「財産上の利益」を得たといえることの検討が必要と思われます。その際、甲は、電話で暗証番号を聞き出すことを指示していることから、乙の行為は共謀に基づくものといえるのかという点は検討したいところでしょう。

総評

本問は、2問分検討しなければいけないため、じっくり検討している時間はあまりないのかと思われます。認定できる罪を淡々と次々に認定していくべきでしょう。

第1問、第2問とも、似た判例があるため、そこから考えるべきといえそうですが、すこし事案が違うところもありそうです。そのため判例そのままでなく、どこがどう違うのかきちんと理解しているのか、そして刑法の事案処理能力があるのかを基本から問う問題であるといえます。

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