平成26年度京都大学法科大学院入試、刑事訴訟法のポイント解説

平成26年度刑事訴訟法_京都のサムネ画像です

形式

刑法・刑事訴訴訟法2科目で3時間の試験時間がとられているため、それぞれ90分を目安に解答をすることになります。

刑事訴訟法の問題は短めの事例1つに小問が4つついており、いずれの小問も非常に簡素なものです。

テーマも「証拠能力が認められるか」というものだけであり、捜査や公判についての知識を正面から問おうとするものではありません。

そのため、いずれの小問も論点を一つ一つ丁寧に論じれば足りるものと思われます。ただし、小問(4)は「(1)~(3)の各場合において」という問い方になっているため、実質的には小問6つ分のボリュームがあることになり、したがって時間に必ずしも余裕があるというというわけではないかもしれません。

油断して足元をすくわれないよう注意しましょう。

解答の大枠

小問(1)について

小問(1)~(3)はいずれもXの自白の証拠能力を問うているため、自白法則(319条1項)を検討することになるでしょう。

小問(1)では、A宅に指紋は遺留されていなかったにもかかわらず、これが遺留されていた旨を警察官がXに告げたうえで自白がなされているため、いわゆる偽計自白が問題となります。

小問(2)について

「起訴猶予にする」と検察官が発言したうえで自白がなされているため、約束自白が問題となります。

小問(3)について

逮捕手続がとられていないのに強制的に警察署に連行された後で自白がなされているため、違法な逮捕に引き続く取調下でなされた自白を検討することになります。

小問(4)について

小問(1)~(3)で自白の証拠能力が問われていたのとは異なり、今度は「盗品」の証拠能力が問われています。ここでは違法集証拠排除法則を検討することになるでしょう。

論点

小問(1)について

まず、自白法則の趣旨について自説(虚偽廃除説・任意性説・違法廃除説等)をきちんと述べたうえで具体的な検討を始めることになります。

ここで虚偽廃除説や任意性説を採った場合、警察官の発言によるXの心理的状態を考慮し、虚偽の自白がなされるおそれがある情況であったかどうかを検討すれば良いでしょう。

小問(2)について

ここでも虚偽廃除説や任意性説を採ったと場合は、Xの心理的状態について考慮することになります。

本問は約束自白のケースなので、利益供与の主体(本問は警察官ではなく、検察官が発言しています)、利益の内容(前科を起訴猶予にする)、Xの意図(それまで否認していたのを翻している)などが考慮ファクターとなります。

小問(3)について

違法な逮捕に引き続く取調べのケースだとすぐにわかると思いますが、答案では丁寧に「連行は実質的な逮捕であり、逮捕手続がとられていない以上違法」ということをきちんと摘示しましょう。

その上で、取調べ自体は違法ではないとしても、先行する逮捕が違法であるがゆえに違法性が承継されることを論じ、それからやっと自白の証拠能力を検討することになります。

自白法則について違法廃除説や任意性説を採った場合は、先行する逮捕手続が違法であるからといって、そのことが虚偽の自白がなされるおそれがあるかどうかを認定することは難しいかもしれません。

他方で、違法廃除説を採用したのであれば端的に違法な取調べ手続でなされた自白として証拠能力を否定すれば良いことになるでしょう。

小問(4)について

違法収集証拠排除法則で盗品の証拠能力が否定されないかを検討することになりますが、本問では捜索手続自体に違法があったという事情は見受けられません。

そのため、盗品の隠匿場所についての供述の証拠能力や取調べ手続の違法性を問題としたうえで、それが盗品という「証拠物」の証拠能力の有無に影響を与えないかを検討しなければいけません。

ここでは、自白法則について虚偽廃除説を採った場合とそうでない場合とで処理の仕方が分かれてくるところです。議論様々あるところですが、あらかじめ用意していた自説にしたがってきちんと処理し切りましょう。

総評

基本書に出てくるようなシンプルなケースが問題となっているため、受験生にとっては取り組みやすい問題であったといえるでしょう。もっとも、事案がシンプルであり、かつ時間が他のロースクールに比べて多めに与えられているため、論述の“質”が勝敗に大きな影響を与えることが予想されます。

少しのミスが大きな分かれ目になるかもしれません。基本から丁寧に、かつあてはめも充実させることをしっかり心がけたうえで取り組んでもらいたいところです。

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