平成28年度京都大学法科大学院入試、商法のポイント解説

平成28年度商法_京都のサムネ画像です

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京大ローの商法は、3年次出願枠とそれ以外とで、出題が変わります。3年次出願枠以外の商法は大問が2つで配点が100点であるのに対し、3年次出願枠はこの2つの大問のうち、第1問しか課されておらず、配点も50点となっています。すなわち、単純に試験のサイズが半分になっているだけのことです。

本記事では、第1問、第2問ともに解説いたします。

解答の大枠

第1問について

第1問は会社法分野からの出題でした。

小問(1)は、CのP社に対する損害賠償責任追及の可否を問うものであるため、423条の任務懈怠責任を検討すれば良いでしょう。金を使いこんだBであるならともかく、Cにどんな“任務懈怠”があったのかを明らかにしなければいけません。

小問(2)はFがAに対して損害賠償請求をしていることから、429条を検討することになります。Aは既に取締役を辞任していることから、429条の責任の対象となるのかが問題となるでしょう。

第2問について

第2問は手形法分野からの出題でした。

小問(1)は、印鑑冒用により手形がEの元に渡ってしまっているにもかかわらず、BがAに本件契約に基づく売買代金の支払いを請求したというケースです。結論と理由を端的に指摘すれば足りると思われます。

小問(2)は、印鑑冒用を知るDから裏書譲渡を受けたEがAに手形金の支払いを求めたというケースです。AB間で既に本件契約が解除されることも考慮したうえで、このようなEが支払いを受けることができるのかを考えることになります。

論点

第1問について

小問(1)は、問題文に「取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制その他会社の業務の適正を確保するために必要な体制を整備していれば防止できる可能性が高かった」という記載があることから、内部統制システムの構築を怠ったという点を任務懈怠の理由にするのが筋でしょう。

P社が大会社であるかどうかは明らかでないため、348条4項で取締役が内部統制システム構築義務を負うわけではありませんが、だからといってこれを怠っても一切善管注意義務を問われないというものではありません。

小問(2)では、Aはもう取締役でないために429条の責任を負わないのが原則である旨まずはきちんと指摘しましょう。その上で、事実上の取締役に対して429条を類推適用して責任を負わせるという裁判例の傾向を踏まえた論述をしたり、退任登記未了の元取締役の429条責任という論点を検討すれば良いでしょう。

第2問について

小問(1)は、仮にAが支払わなければならないとなると、Bに支払いをした上でさらに手形の持ち主であるEからの請求されるという二重払いの危険に曝されることになります。それでは不当であるため、手形との返還と引き換えにのみ支払いに応じる抗弁権を有するとすべきでしょう。

小問(2)では、まずEが有効に手形上の権利を取得しているかが問題となります。印鑑を冒用したC、それを知るDから裏書譲渡を受けた場合も手形上の権利を主張できるのか、善意取得の成否を検討することになります。その上で、既に解除したことをEに主張できるかどうかを論述し、結論を導き出すことになるでしょう。

総評

問題数が多いようにも見えますが、どの設問も問題文をみればすぐに論ずべきことを発見することができると思われるため、難易度はそれほど高くはありません。基本的な条文知識、判例知識を問う王道的な試験であったと言えましょう。

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