平成26年度京都大学法科大学院入試、商法のポイント解説

平成26年度商法_京都のサムネ画像です

形式

京大ローの商法の形式は、それぞれ事例が異なる大問が2つあり、そのなかの小問を回答していくというものです。

商法の試験時間は2時間あり、東京都内のロースクールに比べるとかなり余裕があります。

もっとも、設問の内容がかなりアバウトであり、一行問題に近いものも出題されているため、漏れがないかどうか考える時間がかかるということを踏まえると実際あまり余裕はないのかもしれません。

解答の大枠

第1問について

親子関係にあるQ社(親会社)とP社(子会社)との間で土地が譲渡されたというシンプルなケースです。

問1では、かかる譲渡に際し、取締役会決議が必要となるのはどのような場合かを問われています。「~できるか」というよく見る形式の設問ではなく、珍しいタイプの問いです。そのため、頭の中の知識(あるいは六法)をくまなく探して、どのような場合があったかを思い出す必要があります。

問2では、問1で検討した取締役会決議が必要であるにもかかわらず、これがなされないまま譲渡がなされてしまった場合の譲渡の効力について問われています。これは典型論点ですので、端的に処理していただければ良いかと思われます。

第2問について

事例が変わり、株式会社のある株主グループ(Bグループ)の締め出しを目的とした株式併合がなされたケースです。

問1は、株式併合がなされたらBグループはどうなるのかというシンプルな条文知識を問うものです。

問2、問3は、不当な株式併合がなされた場合の救済手段を問うものです。株主総会決議の効力を否定する方法、あるいはそれ以外の救済を検討することになります。

論点

第1問について

問1では、取締役会決議が必要となるケースとして、土地の譲渡が「重要な財産の処分」(362条4項1号)にあたる場合、及び利益相反取引(356条1項2号)にあたる場合が考えられるでしょう。

あとは、具体的にどういう場合に重要財産の譲渡にあたるか、利益相反取引となるのかについて論じれば良いかと思われます。例えば、重要財産の判断基準や、利益相反の「自己又は第三者のために」の解釈について論じることが考えられます。

問2では、取締役会決議を欠く重要な財産の処分、利益相反取引の効力について問われています。いずれも判例(利益相反については手形振り出しの判例が参考になります)を参照しつつ、会社の利益保護と取引の安全のバランスをきちんと考えているということをアピールしましょう。

第2問について

問1は、株式併合によりBグループの株主の保有する株式が1株に満たなくなること、これによって株主提案権等株主の権利の行使もできなくなるということを、条文を挙げつつ端的にしてきしましょう。

問2は、株主総会決議取消の訴えを提起するものと考え、取消事由を挙げていくことになります。本件においては、そもそも一部の株主を排除するという不当な目的があるということのほか、取締役が株式併合について説明義務を果たしているのかというところも問題となりえます。

そして、それらが実際に取消事由になるのか、その程度では取消し事由にならないのかということについても、判例を参照しつつ検討することになるでしょう。

問3は、その他の救済を検討することになります。まずは株式買取請求が挙げられるでしょう。また、会社法改正を経た現在では、株式併合の差止請求(182条の3)を論じることもできます。

総評

基礎を大切にしつつ、論点の検討も求められるという、学部生に対する親心のようなものを感じる試験という印象を受けます。特に第1問、第2問の問1については、基礎知識が定着し、ある程度頭の中が整理されているのかどうかがすぐにわかる問題であるといえるでしょう。

東京都内のロースールとは違った趣があるため、京大ローを受ける人でなくても、一度過去問を検討してみれば力がつくかもしれません。

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