平成28年度京都大学法科大学院入試、民法のポイント解説

平成28年度民法_京都のサムネ画像です

形式

京都大学法科大学院入試では民法・民事訴訟法合わせて180分で解答することとなります。民法100点に対し、民事訴訟法は50点、論ずる事項の多さなどから民法だけで2時間程度を割くこととなるでしょう。問題形式は旧司法試験のような短い事例問題が2問出題されます。論点が多く、法的知識だけでなく事案処理能力も問われます。

解答の大枠

第1問について

問1ではCのBに対する抹消登記手続請求に関連し、Cの取り得る法的主張についての検討が求められます。本問前段では消滅時効主張の可否、その中でも時効の援用権者である「当事者」の意義が問題となります。また後段では債務者であるAがBに念書を差し入れているので、時効中断の効力がCにも及ぶか問題となります。

問2でβ債務者がAである場合、Aが無資力であることから時効援用権を代位行使できないかが問題となります。また本問でもDの時効援用の可否が問題となります。Dは後順位抵当権者ですが、後順位抵当権者も時効の援用権者となるかについて検討する事ができるでしょう。

β債務者がEである場合も、Dが時効援用できるかが問題となります。

第2問について

問1はXが柵を撤去できるか、あるいはXがZに対して柵の撤去を求めることができるかを検討します。できるだけ多くの根拠を挙げることが求められています。本件では占有訴権・借地権に基づく妨害排除請求・所有権に基づく妨害排除請求の代位行使などが考えられるでしょう。

問2ではXのYに対する請求について検討することが求められます。XY間の賃貸借は数量指示賃貸なので、Yに対して担保責任を問うことが考えられます。

論点

第1問について

問1では「当事者」の意義が問題となります。当事者の意義については時効により直接に利益を受ける者(大判明43.1.25)との規範を定立し、Cがこれにあたるかを検討します。次にAのなした時効中断の効果がCにも及ぶかが問題となりますが、ここは時効中断の相対効について指摘できれば良いでしょう。各々問題となる条文とその文言を指摘し、条文解釈の姿勢を示すことが肝要です。

問2ではまず時効援用権の代位行使が問題となるので423条の各要件を逐一検討しましょう。特に時効の援用は当事者意思の尊重をする必要があるため、時効援用権が「債務者の一身に専属する権利」にあたらないかを検討することとなります。

また事案中に当てはめに使える事実がありますので、もれなく検討できるようにしましょう。D・Eの時効援用の可否についてですが、D・Eは後順位抵当権者であるため、判例(最判平11.10.21)を意識した検討をする必要があります。

第2問について

問1では考えられる法的根拠をできうる限り挙げる必要があります。おそらく各法律構成ごとに言及点が割り振られていると考えられるので、あやしいと思った法的根拠は挙げれるだけ挙げてしまいましょう。もっとも問2でも相当の分量を割く必要があるので各請求についての検討は最低限に留める程度で十分です。

問2については数量指示賃貸借に基づく担保責任が問題となります。判例で示された数量指示売買の意義を参考に数量指示賃貸の意義を示せれば合格水準に達するでしょう。この際、本問賃貸借が数量指示賃貸にあたるかという点について、あてはめで使えそうな事実が豊富にあるので、ここももれなく事実を拾うようにしましょう。

また本問でYに対して具体的にいくら損害賠償請求できるか、その数額についても丁寧に検討する必要があります。ここは担保責任の法的性質に関連し、矛盾の無いよう注意しましょう。

総評

全体的に論じるべき事項が多く、問1であまり時間をかけすぎないよう時間配分に気を付ける必要があります。もっとも聞かれている内容は時効など基本事項であり、またあてはめで使える事実も豊富にあるので、法律論に深入りせず、事案解析の姿勢を示すことを怠らないようにしましょう。

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