平成28年度京都大学法科大学院入試、行政法のポイント解説

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本年度の京都大学法科大学院入試行政法の問題は、判例の判旨を掲載し、それに関する従来の判例法理との関係や処分基準の意義について問う一行問題が3問出題されています。

新司法試験や予備試験とは異なり、事例問題ではないので、一行問題対策を講じる必要があるでしょう。もっとも問われていることは理由付記制度や処分基準など基本事項なので、意義・制度趣旨などを抑えれれば十分です。

解答の大枠

問1では理由提示に関する本判決と従来判例法理の関係について問われています。従来判例(最判昭38年5月31日)は判例百選にも掲載されている重要判例です。判例の事案と判旨を思い出し、本判決との違いを検討できれば合格水準には達することができるでしょう。

問2では本判決を参考に処分基準と裁量の関係を論じることが求められています。本判決では「 本件処分基準の適用関係が示されなければ」処分の名宛て人に不都合が生じる、としているので、処分基準が行政裁量に与える影響や性質について言及した上で、なぜ本判決はこのような結論に至ったかを検討することが必要です。

問3では判例法理に言及しつつ、手続的違法の処分の効力に関する影響を検討することとなります。

論点

問1について

問1では本判決と従来判例との関係が問われています。従来判例では理由付記制度の趣旨について言及していましたが、どの程度理由を記載すべきかについては「処分の性質と理由付記を命じた各法律の規定の趣旨・目的に照らして」決すべきと示すに留まり、具体的にどの程度までなす必要があるかまでは判示していません。

一方本判決は行政処分をする際には処分の根拠条文と認定事実を示すだけでなく、処分基準とこれに該当する認定事実についても記載しなければならないとしています。本判決は従来の判例法理で示されていた理由付記の程度について一歩踏み込んで検討したものといえます。

問2について

問2では処分基準と裁量との関係が問われています。

裁量基準は不利益処分をする際の考慮要素であり、行政に裁量の余地がある場合にもこれに従った判断をする必要があり、処分基準に反する判断をする際には合理的な理由が必要となります。この論点については司法試験でも度々問われているので、復習がてらに司法試験過去問を解くのも良いでしょう。

問3について

問3では手続的瑕疵と行政処分の効力の関係について問われています。従来判例(群馬中央バス事件判決)では手続上の瑕疵も処分の効力に影響しうる、と判示しています。従来判例は違法性の程度・瑕疵の程度が重大な場合には処分の効力についても影響を与えうる、と判断しているようです。

一方で学説では行政手続法の主要な手続的規律違反については独自の違法自由となる、とするものが有力です。

総評

本問は事例問題ではなく、予備試験・新司法試験だけしか答案練習をしていなかった人にとっては取っつきにくい内容であると思います。

しかし問われていることはいずれも基本概念・重要判例の知識であり、一行問題の書き方さえ分かれば特に難しい問題でもありません。基本書や判例集で基礎を確たるものにすれば十分合格水準に到達できます。

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