平成28年度神戸大学法科大学院入試、刑法のポイント解説

神戸_28年_刑法のサムネ画像です

形式

第1問(1)では、刑法の間接正犯、中止犯について、自ら事例を設定し説明をするというものです。(2)では、窃盗罪について、保護法益論を展開することが求められています。(1)は答案用紙の表面に、(2)は答案用紙の裏面に記載するという指示がされていますので、正しい解答欄に記載する必要があります。

第2問では、XとYが住居侵入、窃盗を共謀した事例で、実行者であるXが、共謀とすこし違った行為をした場合に、成立する犯罪や、共謀の範囲を問う問題であるといえそうです。

解答の大枠

第1問(1)では、例えば医者が、従順な部下に毒入り注射を渡して、患者に注射させるなどの事例が考えられそうです。そこで中止犯が成立するかについて、「自己の意思により」「中止した」の解釈とともに検討する必要がありそうです。

(2)では、窃盗罪の保護法益として、占有説、本件説の説明をした上、242条の条文のとらえ方と合わせて論じることがよいと思われます。

第2問では、実行行為者であるXが、A宅敷地内に入った行為、B宅に入った行為に、それぞれ住居侵入罪が成立するかを検討することになるでしょう。その上、B宅から持ち出した、金庫、その中身である葉書について窃盗罪の成否も問題となります。そして、共謀のみ行っている乙について成立する犯罪も検討することが必要と考えられます。

論点

第1問(1)について

では、中止犯が成立する場合として、「自己の意思により」を解釈すること、「中止した」とはどういう意義かを解釈することが必要でしょう。その上で、自らが設定した事例について、どういう場合であれば、中止犯が成立するのかを考えて論述することができればよいかと思われます。

小問1(2)について

窃盗罪が何を保護しようとしているのかを記載する必要があります。単なる占有なのか、本権なのか、2つの立場を説明する必要があるでしょう。そのうえ、242条の「他人が占有」するものが他人の財物とみなすとの条文の解釈にも影響があるため、この点への言及もできるかもしれません。そして、窃盗罪成立の可否を示せば良さそうです。

小問2について

XがYとの計画通りA宅敷地に立ち入っているが、敷地内への侵入が住居侵入といえるのかを検討することが必要と思われます。次にB宅へ立ち入っている点は問題なく住居侵入罪が成立するといってよさそうです。そして、持ち主にとって価値のなくなっているものを窃取した場合に、窃盗罪が成立するのか、窃盗罪の対象である財物に財産的価値が必要かを検討することが必要と思われます。財産的価値を不要とするのであれば、窃盗罪が成立することになりそうです。

Yは、共謀したのみであるが、Xが共謀内容とは違うB宅へ侵入した点につき、Yは共謀共同正犯となるかが問題となりえます。およそ住居侵入を共謀した以上、他の住居への侵入も共謀に基づくものと評価することもできるかもしれません。そして、Xに窃盗が成立するのであれば、Yにも窃盗罪の共謀共同正犯が成立することになるといってよさそうです。最後に罪数処理も忘れずに行う必要があるでしょう。

総評

第1問では、抽象的に理論的な側面を問い、日ごろから基本書などで体系的に学習しているのかが問われる問題であったといえるでしょう。第2問では、事例から各人の行為を抽出し、共謀と完全には一致しない行為について、共謀共同正犯が成立うるかなど、共犯論を正確に理解しているかが問われる問題であったと思われます。共犯の問題はよく出題されるため、基本から理解しているかどうかで、差がつく問題であっかと考えられます。

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