平成28年度神戸大学法科大学院入試、憲法のポイント解説

神戸_28年_憲法のサムネ画像です

形式

本年度の憲法は昨年度とは異なり、あてはめで用いることが出来る事案が充実したものとなっており、一般論だけでなく当てはめの能力についても問うている問題といえます。予備試験と似た分量、出題形式です。もっとも出題分野は財産権であり、難易度的には基本事項を正面から問われていますので、例年並みのものといえます。

解答の大枠

設問1について

設問1ではXが原告としてどのような主張をすべきかが問われています。設問中に加入の義務づけについての合憲性が問題となっている事が指摘されているので、この問に正面から答えるように意識しましょう。答案構成も保護範囲、制約、正当化の判断について淡々と検討すれば良いでしょう。特に正当化の論証は本問の山場なので、重点的に検討しましょう。

設問2について

設問2では例年通り被告の反論と私見を検討します。本年度も反論はポイントのみを簡潔に述べれば足りますので、長々と書きすぎないようにしましょう。私見は得点源なので、反論で形成した争点について厚く検討し、出題者に深い理解を示しましょう。

論点

設問1について

設問1では原告の主張を検討することとなります。本問では自らの治療費についての保険についても加入が強制されていることから、かかる財産的負担につき、財産権侵害が問題となります。保護範囲の検討も必要ですが、そこまで重要な論点ではないので簡潔に検討するに留めましょう。また制約についても簡単に認定すれば足りるでしょう。

本問の山場である正当化の論証ですが、ここは重要判例である森林法違憲判決で示された判断手法を参考に原告になるべく有利な審査基準を導けると良いでしょう。その際には財産権の重要性、制約の重大性から具体的に検討するようにしましょう。当てはめについてですが、本問では立法事実が豊富にあるので、これらの事実をもれなく検討するように意識しましょう。

設問2について

まず想定される反論で争点を顕在化させます。本問では、財産権は社会的接触関係を前提とするもので、権利の性質上、制約の必要性が高度に認めあれるものであること、制約態様は保険加入の強制に留まり、刑罰による強制を(少なくとも事案のなかでは)予定していないものであり規制態様も緩やかであることを指摘し、緩やかな基準が妥当することを指摘できるでしょう。

続いて私見ですが、ここでは主に正当化の論証で深い検討をすべきでしょう。違憲審査基準の定立においても、本条例は被害者・加害者の生命身体を守るという消極目的に出たものであること、本来自由加入であるはずの自転車保険契約の締結を強制させることは契約自由の原則という民法の大原則に反するものであり、規制態様も弱いものとはいえないこと、など事案中にちりばめられたありとあらゆる事実を指摘し、具体的に審査基準を定立しましょう。

結論としては契約自由の原則に反するものの、県の認定した保険会社の中から選べる点で一定の配慮がなされていること、保護法益は生命身体の安全ともっとも保護価値の高い法益であることを総合考慮すると合憲とするのが素直に思えますが、違憲とする立論も十分成り立ち得ます。大事なのは結論だけではなく、そこに至る論理なので、事案検討の姿勢を粘り強く示しましょう。

総評

本年の憲法は従来のようなオーソドックスな事例問題となっており、予備試験対策を講じてきた受験生にとっては取り組みやすいものといえます。今後もこのような出題傾向が予想されますので、本校の受験対策としては入試過去問だけでなく予備試験の問題も検討すると良いでしょう。

その際には違憲審査基準の定立の様な一般論だけでなく、説得的な当てはめをするにはどのように書けば良いかを意識して参考答案を読むなど、合格答案をイメージして学習しましょう。

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