平成27年度神戸大学法科大学院入試、憲法のポイント解説

神戸_27年_憲法のサムネ画像です

形式

本年度の神戸大学法科大学院入試憲法では試験時間短縮に伴い、極短い事例問題からの出題となっています。出題形式は司法試験と同様に主張・反論、私見を問うものとなっています。事案上には当てはめに使えそうな事実はほとんど無いので、当てはめで勝負する様な問題ではないでしょう。

解答の大枠

小問⑴ではXの代理人として原告の主張をしていくこととなります。本問で問題となるXの権利は何か、公職選挙法138条、239条1項3号がどのような制約を課しているのか、どのような審査基準で検討するのかを丁寧に論証しましょう。

小問⑵では原告主張に対する反論と私見を検討することとなります。この際、問題文中に反論は「簡潔に」述べるよう指示がありますので、各反論を長々書くようなことは避けましょう。

論点

小問⑴について

まず本件ではXの個別訪問の自由が侵害されています。そこでこのような自由が憲法上保護されるのかをまず検討することとなります。本問では立候補したBではなく、Xの戸別訪問が問題となっているので、表現の自由(21条1項)の問題とするのが素直なように思います。もっとも15条1項を根拠に立論することも可能でしょう。

次に、Xの本件自由が制約されているかを検討することになりますが、本問では丁寧に公職選挙法138条、239条1項が問題であることが明示されています。そこで右法律をその場で参照し、具体的にどの文言が本件自由との関係で問題となっているかを指摘しましょう。

次に違憲審査基準の定立ですが、ここは本件自由の重大性と規制態様から説得的に論証することが求められます。21条1項の問題とする場合、本問の表現活動は政治的言論に関するものなので特に保護の必要がある重大な権利であることを導きましょう。また規制態様も禁固刑を含む重い刑罰が科されていることを指摘しましょう。

当てはめについては、規制目的については特に問題文中に示されていませんが、公職選挙法1条などを参照し、自分なりに評価できれば合格水準に達することが出来ます。手段についても代替手段の有無等を具体的に検討し、出来るだけ事案解釈の姿勢を示しましょう。

小問⑵について

まず反論についてですが、本問規制は内容中立規制であるとか、本問の素材となった昭和56年6月15日判決を根拠に猿払基準等の緩やかな基準が妥当することなどを主張すると良いでしょう。

私見についてですが、昭和56年6月15日判決は学説上猿払基準を適用すべきでないとの批判が強くなされているので(高橋和之「立憲主義と日本国憲法」第三版p126頁参照)、この点について説得的な立論が出来れば高く評価されるでしょう。

また私見での審査基準の定立においても、戸別訪問の自由は表現の自由により保障されていますが、公務員選任権としての側面も持つ重要な権利であることを示せれば印象が良いでしょう。

総評

本年度の憲法は事案中の事実が少なく、主に判例・学説で争点となっている論点について検討できるかを問うたものといえます。日頃の学習では基本書ばかりではなく、判例百選等で判例の事案・判旨、そして学説の展開についても押さえると良いでしょう。

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