平成27年度神戸大学法科大学院入試、会社法のポイント解説

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事例に現れた、取締役の行った行為で会社に損害が生じたとして株主が代表訴訟を提起する場合に、効果的な主張を検討させるものです。株主として何を主張したいのかを検討し、条文に違反する取締役の行為があるかどうかを検討していくことになります。

解答の大枠

乙社設立時から、甲より賃借している土地を、甲から購入するという事例を検討するものです。設立から2年以内に取得しているところから、事後設立(467条1項5号)にあたるといえそうです。条文から、事後設立の要件を検討し、これにあたるかどうかを検討すべできしょう。

そして、主張としてもっとも効果的なものとしては、取締役会決議で議決された内容が、違法であるのならば、その点を追及することが最も効果的であると考えられるでしょう。

また、損害賠償を請求するのであれば、損害額はいくらであるのかも、具体的な金額で明示したほうがよさそうです。金額などが出ていた場合は、いくらの請求なのか記載しなければ、訴訟では主張が明確にならないからです。

論点

事後設立の要件は、会社法467条1項5号によると、会社成立後2年以内に、会社成立前から存在する財産を取得すること、交付する財産の帳簿価額の合計額が、会社の純資産額の5分の1を超えない場合を除くというものです。

本問では、売買価格は、乙社純資産額の2分の1を超えるものであるので、事後設立にあたり、株主総会の特別決議による承認が必要になる事案です。ところが、本問では、株主総会の承認はなされていないため、法令違反があります。

法令違反は、取締役の忠実義務違反を構成すると論証してよいでしょう(355条)。そして、取締役の法令違反は、法令に従わなければならない、という任務に反したものとして、取締役の任務懈怠責任を生じさせると思われます(423条)。任務懈怠責任が生じるならば、847条1項により、株主代表訴訟での追及が可能になると考えられます。

損害額については、取締役会で決定した価額が、本件土地に対する評価価格を20%程度上回るものであったため、支払いはずのない20%上回った価格である、1億7500万円であると主張することも可能と思われます。また、賃貸借が相当期間継続するものとして、その間の賃料支払総額を10億5000万円から差し引いた額を損害額とする見解も一理あるが、「相当期間」を特定すること自体が困難であるため、額の算定が不可能と考えられます(出題の意図)。

総評

本問は、事後設立を認定すること、取締役の任務懈怠の内容について条文を指摘しながら検討すること、損害額を検討すること、などが主に問われていました。数字、日付が問題文に現れたときに、どういった意味になるのか、よく注意して検討することができれば、解答のヒントを得られたのではないかと思われます。

また、損害についても、これといった正解はないのかもしれませんが、自分なりに理由づけをして明確に金額を示すことは、今後同様に損害額を問われた際には必要になってくることを示唆しているものと考えられます。

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