平成26年度神戸大学法科大学院入試、会社法のポイント解説

神戸_26年_会社法のサムネ画像です

形式

社外取締役の会社に対する損害賠償責任について、責任限定契約の有効性、取締役の会社に対する責任の有無、そして、責任限定契約の存在が会社に対する責任に影響があるのかなどを、具体的事例をもとに検討させる形式です。

株主であるDは訴え提起の要件を満たしていることを前提にされているので、この点は検討する必要がありません。

解答の大枠

まずは、責任限定契約の有効性を検討する必要があるでしょう。そして、社外取締役であるAと会社との取引の対象がAが所有する建物であることから、会社と取締役との直接取引になることを指摘できそうです。

また、会社に損害が生じた場合に、実際の損害額での賠償を請求できるのかどうか、責任限定契約の存在も併せて検討することが必要でしょう。

論点

責任限定契約について、427条の文言に合わせて有効性を検討することが必要でしょう。Aは社外取締役であり、非業務執行取締役に当たる、などを認定できそうです。

そして、Aと会社との取引内容は、Aが所有する建物を会社に売る契約であるため、直接取引(356条1項2号)にあたるといってよいでしょう。この取引によって、会社に損害が生じた場合には、取締役の任務懈怠が推定されます(423条3項1号)。これは条文の指摘で対応すべきところです。

さらに、この責任を代表訴訟で追及することができるのか、423条の要件を1つずつ検討することが必要です。直接取引によって責任は推定されていますから、これを覆す事情があるのかを検討すべきでしょうが、本問では覆す事情は特になさそうです。

423条の責任が生じたとして、責任限定契約により責任は限定的なものとなるのかも論証する必要があるでしょう。その際、会社との直接取引である点は特殊性として触れる必要があるでしょう(428条1項2項)。

総評

本問は、取締役の会社に対する責任という典型的な事例ですが、責任限定契約を締結している社外取締役である取締役が対象になっているというところが特徴的です。一般に、よく演習書などで取締役の責任を検討し、準備していた人にとっては、取り掛かりやすい問題だったかと思います。

ただ、責任限定契約の部分は検討していなかった人もいるかもしれません。そんな場合でも、条文を探して、その要件を1つずつ検討するという態度で臨めば適切な解答にたどり着けるという問題であったと思われます。日ごろからの条文操作の訓練が生きる問題であったといえるでしょう。

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