平成28年度神戸大学法科大学院入試、民法のポイント解説

神戸_28年_民法のサムネ画像です

形式

第1問(1)では、AB間の売買契約が成立しているか、有効であるかを検討させるものです。(2)では、所有権移転登記の抹消を求める場合の、法律構成を示すことが求められています。(3)では、Cの反論を踏まえて、AからCへの移転登記抹消が認められるかを論述するものです。

第2問では、りんごの売買代金について、債権譲渡がされた後、契約と違ったりんごが引き渡された場合に、債権を譲り受けた者と、りんごを購入した上記債権の債務者との法律関係を問う問題です。

解答の大枠

第1問について

(1)では、AがBに売却した建物について、有効であるのか無効であるのかの判断基準を示した上で、自らの結論を記載する必要があります。そして(2)では、BC間の所有権移転登記の抹消を求める場合の法律構成を検討し、Aの主張としてまとめる必要があるでしょう。(3)では、(2)でしめした法律構成に対し、Cからの反論を検討しつつ、Aの主張が認められるかを論証することが必要と思われます。

第2問について

売買契約の内容と違ったりんごが引き渡された場合に、買主のBは、どういう権利行使ができるかを検討することになるでしょう。そして、債権譲受人のCは債務者Bに対し、どういう権利行使ができるかも問題となるでしょう。さらに、債務者Bの抗弁としては何が問題となるかも検討することができるかもしれません。

論点

第1問について

(1) BはAに対し、マイナンバー制度に必要であるとして、Aの実印、印鑑証明書をもとめ、AB間での、建物売買契約書を締結している。これはBによるAへの詐欺であると構成することもできるでしょう。また、Aが錯誤に陥ったとして、Aは錯誤無効を主張することもできるかもしれません。

(2) 登記の抹消を求める場合、所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記請求権が訴訟物になると考えられます。要件事実から考えるならば、Aに建物の所有権があること、建物についてBへの移転登記があることを請求原因として主張することができるかもしれません。

(3) AB間の契約が無効であるとすると、Cは所有権を取得できないのが原則となります。しかし、Cは、94条2項類推適用や110条類推適用、96条3項の第三者保護により保護されると考えることもできるでしょう。そのうえ、Aの主張が認められるのかを、今まで論述した内容と矛盾なくまとめることが必要と考えられます。

第2問について

Bは、売買契約の当事者として、契約内容に従ったりんごの引渡を請求することができると考えることもできるでしょう。また、もし市場からおなじ品種のりんごがなくなっている場合には、損害賠償請求をすることもできるかもしれません。

債権譲受人のCとしては、第三者対抗要件を備えた後には、代金支払い期限になれば、債権の行使が可能になるはずであることを検討することもできるかと考えられます。そのBの権利行使に対して、債務者Cは、りんごをまだ受け取っていないため、同時履行の抗弁権を反論として主張することができると構成してもよさそうです。

そして、結論として、りんごの引渡は、まだ市場にあるのであれば、買主Bに引き渡されるべきであると、結論づけてもよさそうです。代金の支払いについて、同時履行の抗弁権に理由があるとするならば、りんごの引渡との同時履行、または履行不能になっているのであれば、契約解除により損害賠償請求との同時履行、または相殺なども検討できるかもしれません。

総評

第1問、第2問を通して、条文の操作をきちんとすることができることが求められています。そして、小問間の矛盾がないことも重要と思われますので、自らが論証した内容を踏まえながら、次の論証に続けていくことが必要と考えられます。民法の問題は、予備試験の問題などを題材に、条文操作の訓練をしていくことが本問のような問題に対処する対策として適切ではないかと考えられます。

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