平成28年度慶應義塾大学法科大学院入試、刑法のポイント解説

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慶應義塾大学法科大学院の入試においては、憲法、民法、刑法について、各科目の想定解答時間が50分とされています。

本問は、事例問題で3人の罪責を検討させるものであるため、時間的制約はかなり厳しいといえます。そのため、答案を書く練習を積んでいたか否かで大きく差がついたものと推測され、予備試験の対策をしていた人に有利な問題であったと思われます。

解答の大枠

甲については、不作為犯の諸論点について、体系的に具体的事情を評価しつつ論じることが求められていたものと思われます。丙についても、Vを放置したことにつき不作為犯の成否を検討することになるでしょう。

他方、乙については、各論の問題であり、内部資料とマニュアルを持ち出した行為につき、いかなる罪が成立するかを検討することになるでしょう。

論点

まず、甲については、不真正不作為犯の実行行為性がどのような場合に認められるかが問題となります。本問では事情が比較的詳細に書かれているので、適切に考慮要素を上げつつ、具体的な事情を評価していきましょう。

次に、不作為犯の因果関係が問題となります。こちらについても、問題文に時系列が書かれているので、実行行為との関係に留意しつつ、矛盾なく論じていくことが求められているでしょう。

また、丙については、Vをゆだねられた時点で生じていた危険を明らかにしつつ、犯罪の成否を検討することが求められていると思われます。

そして、乙が、内部資料およびマニュアルを持ち出した行為については、窃盗罪における不法領得の意思の有無が問題になると考えられます。乙の有していた目的を評価して、その有無を検討しましょう。また、不法領得の意思がないとした場合に、どのような犯罪が成立するかについても、言及することが求められていると考えられます。

総評

本問では、限られた時間で3人の罪責を検討しなければならなかったため、処理の速度が勝負を分けたものと思われます。他方で、現場では悩ましいところもあったと考えられるため、処理速度を上げにくい問題でもあったといえるでしょう。

本問は、平成26年度刑事系科目第1問と事情が似ている面があり、この問題を検討していた受験生には極めて有利に働いたものと考えられます。このことは、「過去問の演習を積んでいる、答案作成能力の高い人」が、法科大学院入試においても合格しやすいことを示しているといえます。

対策としては、早めに過去問の演習に取り組み、答案作成能力を高めておくことが有効だと考えられます。

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