平成27年度慶應義塾大学法科大学院入試、民法のポイント解説

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形式

出題形式としては、一つの事例に3つの設問がついているというものです。3つの設問はそれぞれ別個独立であり、論点も全く別物です。

事例・設問自体は非常に短いシンプルなものであり、難易度・ボリューム共に旧司法試験に似ているため、旧司法試験の過去問を解いたことがある人であれば、アプローチも容易であったと思われます。

解答の大枠

問題1では、AからBCに対して売買代金支払いを請求できるかどうかを論じることになります。BとCからの反論も想定せよとのことですが、本問では甲地が代金支払期日前に海没しているため、Aの請求権も消滅するとの主張が考えられるでしょう。

問題2では、BのCに対する甲地の所有権移転登記抹消登記請求の当否を検討します。本問は典型的な二重譲渡であるため、民法177条の要件事実を丁寧に論じていけば良いでしょう。

問題3では、二重譲渡で負けたBが、AのCに対する売買代金債権を取得するための法律構成を考えることになります。配点は問題1、問題2の半分ですので、適切な法律構成をあげられれば十分合格水準に達すると思われます。

論点

問題1については、AB・AC間の売買が甲地という特定物の売買契約であるため、民法534条1項の債権者主義によりAの代金支払請求権は消滅しないのではないかが問題となります。534条1項については制限説・非制限説がありますが、制限説を採るのであればどの段階で危険が移転するのかをきちんと論じる必要があります。本問ではBは引渡しのみ、Cは登記移転のみを受けているため、それぞれ違いに応じて検討しましょう。

問題2は、Bの所有権に基づく抹消登記請求に対し、Cが対抗要件の抗弁を主張し、Bがこれに対して背信的悪意者の再抗弁を主張するという主張・反論の構造を、要件事実を意識しながらきちんと指摘する必要があります。その上で、背信的悪意者に該当するか否かは、規範をしっかりたてて丁寧に当てはめて結論を導き出しましょう。

問題3は、AのCに対する売買代金債権をBが取得するための法的根拠を具体的に挙げなければいけません。例えば、BのAに対する債務不履行に基づく損害賠償請求権を被担保債権とする債権者代位(民法423条1項)などが考えられます。

総評

シンプルなように見えて、意外と奥が深い問題です。時間も40分とタイトであるため、すぐに終わるかと思って油断しているとあっという間に時間不足になってしまうため注意しましょう。

また、特に問題2などは要件事実の知識がなければ解答に手間取るおそれがあります。法科大学院受験生にとって要件事実はあまり馴染みがないかもしれませんが、基本知識だけでも押さえておくと安心です。

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