平成26年度慶應義塾大学法科大学院入試、民法のポイント解説

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形式

出題形式は、短い事例問題となっています。本問題は旧司法試験と同程度の分量ですが、想定解答時間が40分と非常に短く、かつ論点自体も難解なものを含んでいます。

事案処理能力と深い理解の両方が問われる試験問題です。問題自体は債権者代位権など基本事項についても問われているので、合格水準の答案を作成すること自体は容易でしょう。

解答の大枠

問い1では賃借人Bが賃貸人Aに無断で第三者Cに本件クレーンを売却していますが、その際、BC間では所有権を留保する特約がなされています。そこで即時取得の成否等に関連してAのCに対する請求の可否が問題となります。

またBは本問主張時点では既に倒産し、無資力となっています。そこでAはBの責任財産を保全するため、BのCに対する代金債権を代位行使できないかが問題となります。

問い2では土地所有者Dが誰に対してどのような請求が出来るかが問題となっています。Dとしては本件クレーンを撤去するため誰に対して妨害排除請求すべきかが問題となります。

論点

問い1では、まず、AはCに対して本件クレーンを所有権に基づき返還請求することが考えられます。そこでCは抗弁として本件クレーンの即時取得(192条)を主張する事となります。

この点、所有権留保の性質を所有権的構成とするか、担保的構成で考えるかで取得する権利が異なってきます。また即時取得の成否の検討の際には192条等を摘示し、条文解釈の姿勢を示すことを忘れないようにしましょう。即時取得が成立した場合にはさらにAから再抗弁として設定者留保権の行使の可否なども検討すればよいでしょう。

次に債権者代位の検討ですが、ここも423条の条文解釈の姿勢を示すため、各要件について丁寧に検討しましょう。もっとも試験時間が非常にシビアなので冗長に書くことは控えるべきです。

問い2は平成21・3・10最高裁第三小法廷判決を参考に作問したものと考えられるので、本例の考えを示せれば一応合格レベルまでは到達すると思われます。

本問ではBC間で所有権留保特約が結ばれているものの、本問では履行期限である引渡しから1週間を経過しているため、Cは期限の利益を喪失しています。なので判例の考えを前提とすると本問ではBに対してDは所有権に基づく妨害排除請求をすることが出来ます。またA、Cに対する請求の可否についても検討できれば加点要素となるでしょう。

総評

本問は40分という短時間で答案作成を要求するものであり、また問い1は問題自体も難解な論点を含んでいるため、完全解を時間内に作成することは非常に困難といえます。

もっとも、合格レベルに達するためには完全解を作る必要はありません。即時取得や債権者代位等の要件検討など誰でも書けるところを落とさず、難解な議論に深入りせず、時間内に答案を書ききることを目指しましょう。

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