平成28年度慶應義塾大学法科大学院入試、民事訴訟法のポイント解説

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形式

本問は、簡潔な事例について、設問が2つある形式で出題されています。慶應義塾大学法科大学院の入試においては、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法について、各科目の想定解答時間が40分とされています。問題文は簡潔ですが、それに応じて時間も短いので、コンパクトにポイントを押さえて論述していくことが重要であると考えられます。

解答の大枠

設問1については、判決の訴訟法上の問題を検討することが求められています。まずは、処分権主義違反の有無について論じる必要があると思われます。処分権主義違反はないと考える場合には、次に、弁論主義違反の有無を検討することになると思われます。

設問2については、控訴の可否が問題となっています。控訴の利益の意義を述べたうえで、本問のXについて、控訴の利益が認められるか否かを検討していくことになると思われます。

論点

設問1につき、処分権主義違反の問題を論ずるにあたっては、処分権主義の意義を端的に述べたうえで、Xの請求の訴訟物が何であるかを検討していくことになるでしょう。その際には、不法行為に基づく損害賠償請求において、入院治療費と慰謝料が別個の訴訟物となるか否が論点になると考えられます。判例を踏まえつつ論ずることができれば、高評価を得ることができるでしょう。

弁論主義違反の問題を論ずるにあたっては、弁論主義第1テーゼを端的に述べたうえで、弁論主義にいう「事実」が何を指すのかを検討していくことになるでしょう。事実を主要事実のみを指すものと解す場合、その後、Xの請求における主要事実が何であるかを論じていくことが求められていると思われます。

設問2については、控訴の利益の意義が問題となります。その意義について論じたうえで、本問において控訴の利益が認められるか否かを論じていきます。Xの控訴が、入院治療費をさらに150万円追加するためのものであることにも気を払いつつ、これが法的に意味を持つか否かも含めて考えてみるとよいでしょう。

総評

本問は、不法行為に基づく損害賠償請求の訴えを題材にし、民事訴訟法上の重要な概念について、受験生の理解を試す良問といえるでしょう。このような問題に対応するためには、日ごろから、考える勉強をすることが必要だと考えられます。暗記に頼った勉強を続けていた受験生にとっては、やや苦しい問題であったかもしれません。

なお、本問が出題された入試の直前の予備試験において、本問の設問1と題材を共通にする問題が出題されていました。そのため、予備試験の論文式試験を受験していた人にとっては、有利な出題であったと思われます。

また、このことからもわかるように、予備試験と法科大学院入試とでは、難易度の差はあるものの、求められている能力は共通しています。法科大学院への進学を考えるにあたっても、予備試験に向けた対策をとることが有効であると考えられます。

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