木村草太「憲法の急所 権利論を組み立てる」の特徴と評価

憲法の急所 権利論を組み立てる

「憲法の急所 権利論を組み立てる」の特徴

本書は首都大学東京大学院の木村草太先生が執筆された演習書です。本書の構成は、まず第Ⅰ部で「自由権と請求権の区別」や「三段階審査」、「請求権の基本手順」といった基礎知識・処理手順について解説し、続く第Ⅱ部で各憲法上の権利をテーマとした9問の演習問題に取り組むというものになっています。

第Ⅰ部の解説は、判例を読み込んでもいまいちよく分からない基礎理論をしっかり正面から説明してくれているので、「憲法の理論的な部分がよく分からない」という受験生にとってありがたいものでしょう。

しかし、ターゲット層は基本的な学習を終えた大学学部生~法科大学院生とされてはいるものの、難易度としてはやや高めであり、すぐに理解できるものであるとはいいがたいです。そのため、分からなくても気にせず、とりあえず演習問題を一通りこなした後で改めて戻って来ても良いかもしれません。

第Ⅱ部の演習問題は、9問と問題数としては少ないと思われるかもしれませんが、それぞれがとてもボリューミーであり、司法試験の問題をも凌駕しています。設問の形式も司法試験と同様に原告主張・被告の反論・裁判官の判断を答えさせるものです。それぞれの設問に木村先生の解説と参考答案がついており、これも非常に充実した内容となっています。

随所に木村先生独自の見解が挙げられており、初めはやや混乱するかもしれませんが、あらゆる主張を戦わせる司法試験の形式を考えれば、様々な思考方法を学べる点で有益であるといえます。

「憲法の急所 権利論を組み立てる」の評価は?

短答式対策において

第Ⅰ部については、短答式試験と直接的な結びつきはないかもしれません。

一方、第Ⅱ部については、多くの重要判例が参照されているため、演習問題に取り組む中で判例の考え方を効果的に学んでいくことができます。

短答式試験の憲法は判例を丸暗記する勢いで学習しなければいけない雰囲気がややありますが、本書で判例の理解を深めれば、漫然と過去問を解くだけよりも効率的に点数を伸ばすことができるようになると思われます。

法科大学院入試対策において

学部生の段階では、三段階審査って何だと思われる方や、憲法の答案をどう書いていいか分からないと方が多いと思われます。

三段階審査については小山先生の『憲法上の権利の作法』が一世を風靡しましたが、学部生にとってはやや敷居の高い本ということもあり、本書の方がより手に取りやすいかもしれません。本書では、第Ⅰ部で憲法初学者の方が疑問に思う点の多くを網羅しています(前述の通り難易度はやや高いですが)。

そして、何といっても第Ⅱ部で解答に至る思考過程・参考答案が丁寧に示されているため、これを真似することで答案の書き方を学ぶことができます。第Ⅰ部同様完全に理解するのは難しくても、形式や雰囲気を十分に知れるというだけでも価値があります。

司法試験・予備試験対策において

第Ⅱ部の演習問題は全て主張・反論型の問題形式となっているため、司法試験・予備試験対策に最も適しています。特に、主張の整理・分析の丁寧さ、詳細さは他の演習書と比べても随一であると思います。そのため、憲法が苦手な方にとっても、得意な方にとっても満足できる一冊だと言えるでしょう。

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