小山剛他「判例から考える憲法」の特徴と評価

判例から考える

「判例から考える憲法」の特徴

慶応義塾大学の小山剛教授、中央大学の畑尻剛教授、新潟大学の土屋武准教授らが執筆した憲法の演習書です。司法試験よりもやや短めの事例問題を、<判例の射程>という観点から主に検討するというスタイルを採用しています。

本書は、授業や答案の書き方等で「最判○○の射程の検討が問題になる」と言われてもどうやって書けばよいのか、司法試験での原告サイド・被告サイドの主張にどう落とし込めばよいのかといった学生の疑問に正面から向き合った良書です。

判例の事案を分析したうえで(勿論判例がなければ学説なども参照の上で)、原告側ならここの類似性を使う、ロジックをこのように応用する、被告側からはこのように反論する、原告側は再反論ではこういう内容を書くという内容を、本文+かなり詳しめの答案構成レベルでまとめたもので書いてくれており、特に<判例の射程>からの論証の仕方が「なるほど!」とわかります。解説の最後に要点整理もついており頭の整理もできるようになっています。

「判例から考える憲法」の評価は?

短答式対策において

向いていません。

本書は判例の射程にフォーカスしているため、判例の事案・判示事項等を詳しく知ることができ、間接的に役に立ちますが、短答式に向けられた本ではないと思います。

法科大学院入試において

やや向いています。

法科大学院入試・論述式試験で出題される問題のほとんどは実際の事例を少しいじったものですので、判例のどの点が変わっておりどのように問題にすればよいのかという点を考えることができると思います。

また、法科大学院入試では原告・被告の主張に構成して争わせるような形ではないですが、どのように憲法的問題点を提起して論証するのかという論証の仕方を学べる本ですので、どうやって答案を書くのかよくわからないという人も使える本でしょう。

ただ、例えば予備校本の「憲法120選」暗記レベルでも合格ラインには到達できると思われますので、本書はレベルが高いかもしれません。

司法試験・予備試験対策において

本書は司法試験にフォーカスしているので、より一行問題に近くなる予備試験対策とはやや毛色が異なると思います。

司法試験対策では原告・被告の主張に分けて検討しますが、(多くの受験生がやってしまうように、どちらかに寄せた解答を書くためだけの形式的な反論などを書いてしまっているという事態を打開して)説得力を持った言い合いにできる振り分け方はどうすればよいのかという点を、本書は教えてくれます。

事例問題の内容も司法試験類似であり、判例の射程、答案の書き方・答案構成の仕方など実戦形式で様々な武器を与えてくれる良書ですので、司法試験受験生には大変おすすめできます。

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