小山剛「「憲法上の権利」の作法」の特徴と評価

憲法上の権利の作法

「「憲法上の権利」の作法」の特徴

本書は、慶應義塾大学の小山先生が執筆された人権論に関する基本書です。本書の特徴は、その構成にあります。すなわち、本書の構成は、「権利ごとの縦割りの構成ではなく、実際の憲法判断で踏まれる審査の段階に応じた、いわば横割りの構成」(初版あとがきより)となっており、三段階審査や下限統制・制度準拠審査といった論証の方法ごとに、人権論を学ぶことができます。受験生の観点からみると、本書は、「答案を書く」という観点から知識を体系化するのに適しているといえるでしょう。

小山先生は、ドイツ流の三段階審査論を取られています。三段階審査論は、保護範囲、制約、正当化という順序を辿る思考方法であり、その通りに答案に書くか否かを問わず、身に着けておくべき頭の使い方であると思います。本書の前半は、この三段階審査論をわかりやすく解説しています。

他方で、三段階審査論はあらゆる場面で使えるものではありません。三段階審査論が妥当しない領域については、別の論証作法を用いる必要があります。本書の後半は、「もう一つの作法」として、下限統制・制度準拠審査を解説します。こちらも合わせて読むことで、憲法上の問題点の把握が容易になるでしょう。

「「憲法上の権利」の作法」の評価は?

短答式対策において

本書は、短答式試験対策には全く向いていません。取り扱っている範囲は、人権論に限られており、また情報の整理の仕方も、知識を詰め込むのには適していないからです。本書は、論文対策にフォーカスした1冊であるといえます。

法科大学院入試対策において

法科大学院入試においては、憲法の答案の書き方がわからないという悩みをもった受験生が多くいると思われます。

本書は、憲法上の問題について、論証の作法を与えてくれるものであるため、本書に従って答案を書くことができれば、法科大学院入試においてはかなり有利になるものと思われます。したがって、法科大学院入試対策として、本書はかなりおすすめできます。

司法試験・予備試験対策において

本書は、論文対策として非常に強力な書籍であり、司法試験・予備試験対策としてもおすすめできます。

もっとも、このレベルの受験生にとって、本書の内容は、憲法上の問題を検討するにあたっての前提として、ある程度理解していることが当然のものだと考えられます。

そうすると、使い方としては、本書を繰り返し読んで勉強するというのではなく、問題演習をする際に座右に置き、適宜確認するといったものになると思われます。また、憲法の知識を学ぶためには、本書ではなく、スタンダードな基本書を使う方が適しているでしょう。

最終的には、本書の内容を知っていることは重要ではなく、作法に則って論述できるか否かが重要です。本書は、そこに至るまでの足掛かりとして使うのがよいと思われます。

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