戸松秀典他「憲法判例」の特徴と評価

憲法判例(戸松)

「憲法判例」の特徴

憲法を学ぶ上で、重要な判例が網羅されています。ページ数は650ページ弱であり、文字もそれほど大きく書かれているわけでもないので、たっぷりの量だと感じるかもしれません。しかし、憲法判例は、判例百選でも2分冊であるし、重要な判例を網羅するとこのぐらいの量になるのは致し方ないところかと思われます。

体裁は当然のことですが、事実と判旨からなります。この事実部分は事件の年月や内容、前審の判決の年月や内容もなるべく記載されているので、何が争点になったのかが時系列に沿って追いかけやすくなっています。また、判旨部分も、判例百選よりも長く掲載されているものが多いです。

そのため、裁判所の判断をより詳しく知ることができるようになっています。小見出しがついているのも内容把握をしやすくしてくれています。そして、判例によっては、各裁判官の個別意見も掲載されているなど、より深く学習することや、実務家の利用にも耐えられるようになっています。

「憲法判例」の評価は?

憲法判例を学習する際には、単に規範や結論だけを覚えるというだけでは、少し足りない部分があるかと思います。

特に論文式の事例問題などでは、似ている事案の判例はないか検討し、判旨ではどのような規範をたて、どのように事実を評価したのか思い起こせることが、解答のヒントになります。その意味において、本書は事案がとても詳しく紹介されているため、事例問題に対し、その判例の射程が及ぶのかを考えるヒントをたくさん与えてくれます。

また、判旨が長く引用されているのも、より深く裁判所の判断を理解することにつながり、ひいては司法試験・予備試験受験生の成績向上につながることと思われます。

短答式対策において

憲法の短答式試験では、判例ではどの事実をどのように評価したのかが問われることが多いです。このような問題に対応するためには、日ごろから、判旨だけでなく、事実も併せて理解していることが必要です。本書は、事実も判旨も詳しく記載されているため、短答式試験でも威力を発揮することと思われます。

法科大学院入試対策において

法科大学院入試でも、本書の利用は有用と思われます。なぜなら、人権問題であれば、人権を確定し、その侵害が違憲なのかを論述すると思いますが、そのような問題に対応するためには、一通りの重要な判例を理解していることが必要であるといえるからです。

司法試験・予備試験対策において

司法試験・予備試験対策として憲法判例を学習する場合には、本書はとても良い学習素材であると思われます。受験生の中には判例百選を利用する人はとても多いと思います。もちろん判例百選を利用することでも判例学習を進めることはできますし、合格する力を養うこともできます。

しかし、判例百選は判旨の引用が短いことがあり、より詳しく理解するのに足りないことがあります。本書は、判旨が長く引用されているものが多く、より詳しく理解する助けになることと思われます。

もっとも、判例百選のように解説があるわけではないので、独学で利用する場合には、判例百選の解説なども参考にしつつ利用するほうが正しい理解につながる部分もあるかもしれません。それぞれの状況に合わせて、うまく使い分けをしていくことで、合格に必要な力は養われていくと考えられます。

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