大橋洋一「行政法Ⅰ現代行政過程論」の特徴と評価

行政法Ⅰ現代行政過程論

「行政法Ⅰ現代行政過程論」の特徴

学習院大学教授(九州大学名誉教授)の大橋洋一氏が執筆した行政法(行政過程論分野)の基本書です。同著者の行政救済論の教科書「行政法Ⅱ現代行政救済論」が有名ですが、同様に判例の個別法解釈にまで踏み込んだ丁寧な解説が特徴です。Caseという設問とそれに対する解答スタイルの部分などは事例問題対策としても素晴らしいです。

読みやすさには定評があり、独学にも向いている本ですが、一方で、知識量・判例数が不足しているきらいがあります。重要判例と概念理解をざっとさらいきるならば、櫻井他「行政法」や中原茂樹「基本行政法」等の方が向いています。そのため、考え方の重要性が強まる行政救済論分野における同著者の「行政法Ⅱ現代行政救済論」程には、本書をお勧めできない気もします。

「行政法Ⅰ現代行政過程論」の評価は?

短答式対策において

本書は、重要判例を深く理解していくタイプであり、条文・判例を幅広く押さえるような本ではないので、向いていないと思います。

法科大学院入試対策において

本書は、法科大学院対策に使えると思います。

行政法の試験対策に関して言うと、学部生ですと、「まず答案の書き方がわからない」「いきなり個別法が出てきて困惑する」という悩みを持つ方が多いと思います。事例問題と教科書知識がなかなかリンクしてくれない中で、まずは判例を読めるようになること、すなわち判例・裁判例で個別法もふまえ「何がどう(総論知識との関係で)問題になっているのか」ということをつかむのがまずは第一歩だと思います。

そのために本書を足掛かりにするのがよいと思いますし、同様に事例とのリンクがしやすい教科書としては、原田大樹「例解行政法」や曽和俊文「行政法総論を学ぶ」等があります。自分に合ったもので感覚を養い、演習書として曽和俊文他「事例研究行政法」や原田大樹「演習行政法」等で事例問題の解き方を学んでいくのが良いと思います。

司法試験・予備試験対策において

司法試験レベルですと、本書のような教科書を読み返すというよりは、本書の基本知識、判例の読み方はきちんと押さえた上で、個別法解釈の手法を演習書で学びつつ、判例をひたすら押さえ、類似事案が事例問題で出てきても何が問題になるのかをわかる程度にマスターするという勉強を繰り返すしかありません。

本書については、重要判例の読み方などは大変参考になる部分がありますのでそういった部分を読んで足掛かりとし、問題演習、判例を読む等の対策を存分に行っていきたいところです。

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