司法試験突破!試験別に刑法の勉強法ポイント解説

刑法とは?

刑法は、刑事系の法律の基本法であり、公法に位置します。罪刑法定主義の観点から、条文に記載のない犯罪では人を処罰できないため、刑法の条文は、人々を規律するうえで非常に重要な役割を果たしています。条文数は400程度。

条文としては260条程度しかありませんが、それが人々の行動規範を規律するものですので、いずれも非常に重要な条文といえます。憲法、民法ともに上三法といわれ、基本的な法律といえます。刑事訴訟法は刑法を訴訟手続で適用するための手続法となります。

予備試験、法科大学院、司法試験において刑法が問われる場面

刑法は、司法試験予備試験において短答式試験、論文式試験で問われます。また、刑事実務基礎という形で論文式試験、口述式試験でもその知識が問われます。刑事訴訟法との一体的理解が問われることになります。

刑法は基本的な法律であることから、法科大学院入試においても問われます。論文式試験で問われる大学も多いといえます。司法試験本試験においては、短答式試験、論文式試験で問われます。刑事系科目の第1問目という形で問われます。

司法試験を突破!刑法の勉強法:総論

刑法については、260条程度と条文数こそ少ないものの、非常に論理的な科目であるといえます。

範囲としては、刑法総論と刑法各論の2つにわかれ、特に刑法総論は法律7科目の中でもっとも理論的な科目です。構成要件、結果、因果関係、違法性、責任といった順序で検討していくのですが、各部分で非常に論理的な議論、学説の対立があり、当初は理解に戸惑う科目の1つでしょう。

一方の刑法各論は、かなり民法と似ていて、刑法の条文に各行為が当てはまるのかどうか、というのを意識することが必要になります。例えば、横領罪、といえば、要件がすぐに出てくるように勉強することが必要です。

短答式試験では、条文の細かい知識が問われる分野もあります。罪数や執行猶予についてなどがそれに該当します。ですが、多くの問題は、判例を理解していることを前提に、簡単な事例についてどのような犯罪が成立するかを答えさせる問題が多いです。

求められる知識量は多くなく、どちらかというと、しっかりと理論や条文の要件を理解しているか、それらの具体的事例である判例の結論をおさえているかが問われます。勉強量は民法ほど多くなく、憲法よりは多い、という形になります。憲法の2〜3倍程度です。

論文式試験では、刑法総論と刑法各論では書き方の特徴に全く違う特徴があります。近年の予備試験や司法試験本試験では、刑法総論と刑法各論の融合した問題が出題されますので、それらの書き方の方式を融合させて書くことが求められます。

短答式試験対策における刑法の勉強法

刑法の短答式試験では、犯罪の成否についての正確な理解、つまり、具体的な事例でどのように判断されるのか、という点がメインで問われます。また、やや細かい点としては、罪数や執行猶予、刑の減軽などが問われることになります。もっとも、条文自体は260条程度と民法の4分の1程度しかないことから、試験前には、ほとんどの条文の知識が頭に入っている状態である必要があります。

厄介なのは、犯罪の成否についてです。判例では、成立するのかどうかギリギリの事例が問題になっていますので、その結論と理由を正確に理解し、記憶している必要があります。勉強法としては、憲法や民法と同様に、予備試験や司法試験本試験の短答式試験を全て解くことに付きます。予備試験と司法試験本試験では短答式試験のレベルは変わりませんので、刑法の短答式対策としてはこれらを全てとくのが大前提になります。

憲法や民法と違うのは、刑法については、旧司法試験の過去問はそこまで大きな意味がない、ということです。特に、平成に入ってからの旧司法試験の刑法の短答式試験は、パズルのような問題であり、今の予備試験や司法試験本試験とは全く異なる問題ですので、熱心に勉強しても点数に結びつきにくいといえます。

また、論文式試験の勉強と短答式試験の勉強についても、民法ほどの密接な関連性はないといえます。別の試験対策として勉強したほうがいいです。論文式試験については、細かい条文の知識は問われず、どちらかというと事案処理能力が問われる傾向が強いからです。

判例については、結論とそこに至る簡単な理由が問われますので、そこを理解し、ある程度暗記しておくことが必要です。

論文式試験対策における刑法の勉強法

刑法の論文式試験の答案については、刑法総論と刑法各論で全く異なります。刑法総論については、構成要件、結果、因果関係、違法性、責任、共犯を検討することになりますが、因果関係や共犯関係がもっともよく問われます。因果関係については、判例の態度に変遷が見られるところでもありますので、しっかりと学習し、どのような判断基準で判断していくのか、という基準を自分農中でしっかりと定めておく必要があります。

また、共犯については、基本的な考え方から派生して、様々な論点がありますし、近年の論文式試験で共犯が問われないことはまずありませんので、非常に注力して勉強するべき分野です。刑法総論においては、行為無価値と結果無価値という大きな2つの対立する考え方があり、それぞれの立場について高名な学者が議論を戦わせています。

重要なのは、自分の都合のよいように立場をコロコロと変えないことです。

ある論点については行為無価値なのに、ある論点については結果無価値的な立場に立つ、ということがあると、前提の理解が疑わてしまいますので、勉強する際には、どの立場に立つのか、という点を常に一貫して勉強のが重要になります。

もっとも無難なのは、判例の判断枠組みに則って勉強をしていくことです。

そして、刑法各論については、逆に、犯罪の構成要件について、順に判断をしていくこと、つまり要件をすべて覚えておき、その意義を理解、暗記して、問題文における行為がそれに該当するのか、というのを述べるのが必要です。

例えば、「本問でAが〜した行為は不法領得の意思の発言行為といえ、「横領」にあたる」といった形で、どの行為についてどう評価できるから、条文の要件に当てはまるのか当てはまらないのか、という点を小気味よく論じていくことが必要になります。

予備試験や司法試験本試験では、刑法総論と刑法各論の論点が融合し、多くの論点を記載しなければならない問題が出題されますので、論点1つ1つを丁寧に論じるのではなく、いかに妥当な結論にたどり着くのか、という点が重要です。ある人の行為が色々な事情から判断して刑法の条文の要件を満たすのかどうか、という点を全て答案に記載するのが必要です。

勉強法としては、まずは予備試験の過去問を全てとくことがおすすめです。そして、司法試験本試験については、予備試験よりも複雑な事例が問われることになりますので、予備試験を学習したあとに、司法試験本試験の学習をするのが有用です。

旧司法試験の学習は、他の科目と同様に非常に重要であり、近年の予備試験や司法試験本試験は、旧司法試験の焼き直し問題であることも多いため、全ての旧司法試験をとくのがおすすめです。時間的にそれが難しい場合には、平成15年以降の旧司法試験の問題については少なくともおさえていただくのがよいです。

 

刑法については、憲法と同様、一旦答案の書き方を覚えれば、あとは論点や判例、そして過去問を学習していくことで点数があがっていく科目ですので、比較的取組やすいと感じる方が多い科目です。