安田拓人他「ひとりで学ぶ刑法」の特徴と評価

安田拓人「ひとりで学ぶ刑法」サムネ画像

「ひとりで学ぶ刑法」の特徴

京都大学の安田拓人教授、故・島田聡一郎教授、慶應義塾大学の和田俊憲教授の共著の刑法の演習書で、「講義や教科書で一通りは学習して理解したつもりなのに事例問題には歯が立たない」という独学者のための架橋的な本です。

本書は3つのステージで構成されています。第1ステージは犯罪体系論から故意、罪数、占有まで基本概念ではあるもののやや難解なものについて、短い事例の形で問題提起され、それを理解していく形、第2ステージは学部試験レベルの短い事例問題、第3ステージは長めの事例問題でロースクール入試から司法試験レベルといったように徐々にステップアップしていきます。

難しめの事例問題をガンガン解きたいタイプの方には勧められないですが、他の演習書では扱ってくれていなかったやや基本的な概念や、かゆい論点等について最新の議論も踏まえ、かなりわかりやすく解説されています。

島田教授のファンの方には島田聡一郎他「事例から刑法を考える」今井猛嘉他「リーガルクエスト刑法総論」、同「リーガルクエスト刑法各論」でご担当されていなかった分野も執筆されていることがお勧めできるほか、京都大学の学生ならば、安田教授が講義で言いたいと思われることや問題意識がきちんと文章にされているため論証化しやすくなる点などもお勧めできるポイントです。

「ひとりで学ぶ刑法」の評価は?

短答式対策において

あまり向いていません。

確かに論点も広く触れてくれているのですが、論述のための考え方を学ぶ本ですので、短答式に向けて読む本ではないでしょう。

法科大学院入試対策において

向いています。

特に学部生向けの本ですし、短めの事例問題など定期試験レベルの問題から徐々にステップアップできるよう工夫されていますし、長めの事例問題も掲載されているので、学部生にぴったりでしょう。これをクリアして、安田拓人他「刑法事例演習教材」「事例から刑法を考える」などにステップアップしていければかなり実力が付くと思います。

司法試験・予備試験対策において

向いています。

このレベルの読者であれば第1ステージなどは流し読みでよいと思いますが、第2ステージや第3ステージでは、最新の議論も踏まえて気鋭の学者達が書いている内容、問題意識が大変参考になりますし、「刑法事例演習教材」「事例から刑法を考える」では十分に取り扱われていない分野もあるため、読む価値は十分にあると思います。

あなたもレビューしませんか?

※先に「継続力」を理解する事が重要です。

難関な試験に合格する為には独学力を鍛えなくてはなりません。

司法試験の独学力.comでは、独学力を構成する「効率力」と「継続力」。特に独学で司法試験に合格する為の必須条件である「継続力」について解説しモチベーション向上を図ります。