島田聡一郎他「事例から刑法を考える」の特徴と評価

「事例から刑法を考える」サムネ画像

故・島田聡一郎教授・東京大学教授小林憲太郎らが執筆した刑法の演習書。22問が掲載されており、司法試験の問題よりもやや短めの事例問題と、一流の刑法学者によるそれに対するかなり詳しい考察と(一応の考え方としての)答案例が書かれています。

レベル的には司法試験レベルかそれ以上程度で大変に高度ですが、学生向けのわかりやすさがかなり追及されており、どう考えるべきか、どう考えるべきでないか、よくある間違い等、学生の教育にも携わってきた両教授らの配慮もあり、学部の上回生でも大変読みやすい本です。

「事例から刑法を考える」の特徴

問題は一見典型的な判例をいじっただけに見えて、実は高度な問題が隠れているというものばかりです。そういった問題に向き合いながら「この問題は実は難しいが、考えていけばこうなる」「こう考えるのは誤りだ」というのをわかりやすい言葉で教えてくれる本です。

解説はかなり手厚く、学生の理解を助け、また気になれば発展的学習へも導くような配慮が見えます。多くの刑法の演習書は、簡単な解説しかしていなかったり真に到達すべき点まで深めきれていなかったりですが、本書は単純に暗記していた論点や学説の真の意味・位置づけや判例の考え方などにしっかりと向き合い、理解できるよう導いてくれるもので、刑法の考え方にじっくり向き合える良書です。

「事例から刑法を考える」の評価は?

短答式対策において

全く向いていないです。

本書は完全に論述対策用です。短答式では本書程度に深く思考しなければならないタイプの問題はほぼないでしょう。

法科大学院入試対策において

向いていますが、かなり高度です。

著者らがたどり着いてほしいと思っているレベルまで辿り着ければ、おそらく司法試験合格レベル(あるいはそれ以上のはず)なので、本書は大変高度です。

ですが、本書は高度な内容をかなりわかりやすく書いており、確かに初めて読むと自分の考えの甘さに打ちのめされそうになりますが、大変興味深くも感じるはずで、2回3回と読むとその度理解度が高まり、刑法の考え方、高得点者の思考というものが見えてきます。

本書は、今までの考えを破壊するタイプの書ではなく、今までの考えをさらに一歩深めてくれるタイプの本であり、重要判例も押さえることができます。読みやすいのでトライしてみる価値は大いにあると思います。

司法試験・予備試験対策において

向いています。

本書の内容はかなり高度で、その考察は司法試験レベルかそれ以上ですので、この本の内容レベルまで思考力、問題発見能力を鍛えた上で最新の判例・裁判例等にあたっておけばかなり対応できると思われます。

本書は設問について学問的な考察を加えていくもので、あてはめを詳細に行う問題はあまりないので、事実認定に不安がある方は、例えば井田良他「事例研究刑事法Ⅰ刑法」や辰巳法律研究所「司法試験予備試験法律実務基礎科目ハンドブック2 刑事実務基礎」等を詳しく読んでみることをお勧めします。

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