井田良「講義刑法学・総論」の特徴と評価

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「講義刑法学・総論」の特徴

本書は、慶応義塾大学教授の井田先生が執筆された刑法総論に関する基本書です。刑法は根本的な学説対立が深刻な科目ですが、本書は、行為無価値論に沿ったものとなっていますので、基本的に判例との親和性が高いものといえましょう。

行為無価値論といえば「社会的相当性」といった言葉で説明がされることが多く、結果無価値論を採用する学者から批判されることがままありますが、井田先生は、このような言葉を用いずに、規範的一般的予防という観点から一貫した説明がなされています。このように行為無価値論に関する理論的な説明がかなりしっかりしている点が、本書の一番の特徴であるといえましょう。

結果無価値論的な考え方も取り入れられており、結果無価値論に則って刑法を学修している人にもおすすめできます。もっとも、井田先生はドイツの最新の議論を多く取り入れられており、司法試験や予備試験で本書の見解を答案にそのまま表現するかという点では、やや疑問があります。

とはいえ、刑法総論の本質的な理解という点ではかなりおすすめできる一冊であると思います。特に、本書の因果関係に関する部分は、「相当因果関係」と「危険の現実化」を共に採用しており分かりやすいものとなっていますので、そこだけでも読む価値があるでしょう。

「講義刑法学・総論」の評価は?

短答式対策において

そもそも、本書は刑法総論のみに限った基本書であり、刑法の全範囲の解説がなされているわけではありません。したがって、本書が短答式試験の対策に直結するものとはならないでしょう。

法科大学院入試対策において

上述のように、刑法総論の体系的な理解という点ではかなりおすすめできます。しかし、総論のみの構成となっていることから、自分がベースにする基本書を決めたうえで、総論の理解を深めるための1冊として用いるのがよいかと思います。

司法試験・予備試験対策において

基本的には法科大学院入試対策と同様です。

 

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