大塚裕史他「基本刑法Ⅱ各論」の特徴と評価

大貫裕之「行政法 事案解析の作法」サムネ画像

大塚裕史・十河太朗・塩谷毅・豊田兼彦らが執筆した刑法の基本書。同著者らの「基本刑法Ⅰ総論」の続編です。従来の教科書とは異なり、研究成果を著した体系書ではなく、実務家を志す学生を対象に判例実務に沿って事例問題に対応できることを追及したものです。

司法試験や実務に向け押さえなければならない知識と、論点ごとの(判例や通説からの)考え方をひたすら示していく教科書となっています。比較的新しく、判例・裁判例も豊富ですので、判例もかなり押さえられます。試験対策特化型なので、リサーチなどに向く本ではないでしょう。

「基本刑法Ⅱ各論」の特徴

何と言っても、学者が作った予備校本ということでしょう。

本文部分に関して

基本的な教科書同様構成要件で問題になる部分をきちんと押さえていくものです。

西田典之「刑法各論」のように条文を挙げてあるため読みやすいですし、加えて、問題となる語句に下線が引かれ、下線(a)(b)(c)…といった順で説明されるので、どの部分の問題かがわかりやすくなるようになっており、条文理解がしやすく読みやすいです。

設問・論点部分に関して

これこそが本書の特徴です。頻出論点を事例・論点として手厚く扱っており、そのまま論証パターンとして使える程度に理由づけがされているいます。また、抽象的な要件のあてはめにおいてどのような事情を拾えばよいのかの中間基準ともいえる道しるべを判例・裁判例から分析して①~④のような形でまとめてくれています。

司法試験・ロースクールに向け論証パターンを暗記してある程度は答案を書けるようになりたい、という人にはこれ以上ない本といえます(学者が書いているので予備校本のように信用できないという不安も小さいです)。

「基本刑法Ⅱ各論」の評価は?

短答式対策において

向いています。

本書は網羅性も高く、細かい犯罪についても、覚えなければならない事項がきちんと書かれており、問題となりやすい部分は論点として抜き出してくれているため、その部分を読んでいれば解答ができるようになるという点で短答式対策に向いています。

短答式刑法では条文暗記ではなく、考え方・論点・判例を押さえるのが肝ですが、本書ではいずれもカバーできるため大変おすすめできます。

法科大学院入試対策において

向いています。

基本事項も押さえられ、重要論点、(従来の)教科書には書いていないが試験によく出てくる論点などを押さえることもできますし、比較的新しい判例も数多く載っているのでまさに試験対策にぴったりでしょう。

また、安直に判例・通説に走るのに批判的であったり、論理的一貫性を求めている人にも、どんな判例が出ているのか、何が論点となるのか、通常どのように考えるのかということを知るのは問題発見能力を高めるのに大変有用であり、お勧めできます。

司法試験・予備試験対策において

向いています。

本書は網羅的であり短答式から論文式まで対応できるのでお勧めできます。司法試験、予備試験から定期試験まで出やすい論点、比較的新しめの判例まで幅広く押さえることができますので、本書を参考に論証パターンを作成したり、対応できていなかった論点・判例をしっかり暗記できれば、大きな糧になると思います。

動画で解説!専門家が評価する「基本刑法Ⅱ各論」

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