小林充「刑事訴訟法」の特徴と評価

小林充「刑事訴訟法 第5版」サムネ

元仙台高裁長官の小林充先生が書かれた刑事訴訟法の基本書です。小林先生がお亡くなりになった後は、東京地裁刑事第8部の部総括判事である前田巌先生が改訂しています。監修者の植村立郎先生も元東京高裁の部総括判事です。この顔ぶれをみてわかるように、本書は、刑事裁判官の視点から、刑事訴訟法が説かれています。本書は、刑事訴訟法の概観を把握するのに適した本であり、初学者にもおすすめです。

刑事訴訟法の基本書、小林充『刑事訴訟法』の特徴

本書は350頁程で書かれており、刑事訴訟法の基本書としては薄い方だと思います。本書の特徴は、その分量の中で手続について詳しく書かれていることです。実務家の視点から、手続法規としての刑事訴訟法の解説がなされており、独学で刑事手続の概観をつかむのに向いています。

その反面、いわゆる論点や、判例の解釈についての記述は薄いので、司法試験用としては少し心許ない部分があります。

また、本書には、判例は自動車の一斉検問の根拠を警察法2条に求めているとか、通説は刑訴法198条1項但書の反対解釈として取調べ受忍義務を肯定している等、実務の立場からかなり割り切った記述がなされている箇所があります。読者によって好き嫌いが分かれるところだと思いますが、独学の場合、この本だけで刑事訴訟法の勉強を済ませてしまうのは危険かもしれません。

刑事訴訟法の基本書、小林充『刑事訴訟法』の評価は?

短答式対策において

本書は、手続に重きを置いた解説がなされているため、短答式試験としても読む価値のある教科書だと思います。論文式試験の勉強だけでは手薄になりがちな部分を、本書で補うことができるでしょう。

法科大学院入試対策において

本書は、記述がコンパクトであり、定義がしっかりと書かれた本であるため、法科大学院入試対策にもおすすめできます。本書と判例集を読み込めば、独学でも、法科大学院入試対策として十分なインプットができるでしょう。

司法試験・予備試験対策において

本書は、定義が明確に書かれているため、論文式試験の対策としても有益だといえます。また、全体の分量がコンパクトであるため、直前期の総まとめにも向いているでしょう。他方で、いわゆる論点や、判例についての記述は薄いため、司法試験・予備試験の論文式試験対策としては不十分だと思います。この部分は、別途、演習書や判例集で補う必要があります。また、反対説への言及が極めて簡潔なので、本書と異なる立場を採用している人にとっては、使いにくいこともあるかもしれません。

まとめ

本書は、手続の解説がしっかりとなされており、解釈論についても定義がはっきりと書かれているので、基本を押さえるのに適しています。人によって向き不向きがあるでしょうが、強い味方になってくれるでしょう。

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