山本敬三「民法講義Ⅳ‐1 契約」の特徴と評価

山本敬三「民法講義Ⅳ‐1 契約」サムネ

京都大学の山本敬三教授が執筆された民法の基本書。圧倒的な情報量、そして引用・脚注の多さが特徴で、京都大学では契約法の辞書として用いる人が多いです。調べ物、リサーチ等においてとっかかりを与えてくれることが多いです。

判例の事案理解や言及はやや少なめですが、学説についてはその考え方からケースの帰結までしっかり示してくれているのが特徴です。そして、本書には要件事実整理表がついているため、攻撃防御の構造が理解でき、ロースクール、司法試験向けでの答案構成等に大変役に立つと思われます。

「民法講義Ⅳ‐1 契約」の特徴

とにかく「厚い」、同著者「民法講義Ⅰ 総則」よりも厚いです。

契約関係の叙述で(事務管理不当利得や不法行為もないのに)約800頁強の大ボリュームで、とにかく読み切るのは大変です。京大生でも辞書的に使っているという人は多いと思われます。ただ、書かれている内容自体はわかりやすいですし、好みが分かれるところですが、題名付け・インデントで知識を体系的に整理して記憶しやすいようにという配慮もうかがわれます。

また、学説の対立点や、ある学説はどのような問題意識を持ち、どのような理由づけでどのような帰結に至るのかという点をしっかり記述されているため、法律的な考え方はどういうものなのかという思考訓練を助けてくれるのも本書の良い点でしょう。

契約分野のみの記述のみであり、読むのに時間もかかるため、必要十分な内容で契約各論を押さえきりたい方には潮見佳男「基本講義 債権各論Ⅰ・Ⅱ」の方がお勧めできます。ゼミやロースクールで契約について深い考察をする際に学説の対立や踏み込んだ内容を知りたいときには本書が大変便利でしょう。

「民法講義Ⅳ‐1 契約」の評価は?

短答式対策において

あまりおすすめできません。

短答式の契約各論分野では条文理解が大変多く、とにかく条文と問題になる要件をコンパクトに押さえきることが要請されるので、学説などの理解をしっかりとしていく本書とは大きく異なるものだと思われます。択一六法系統の本で条文と問題になりやすい部分を読む方が短答式の点数アップにつながると思われます。

法科大学院入試対策において

用いるのはよいが、まずは基本を理解しきる方が重要です。

スクール入試レベルでは「基本講義 債権各論Ⅰ・Ⅱ」の内容をしっかり理解できていれば、本書レベルの学説等の理解にまで到達せずとも合格水準には達することができると思われるため、「この本が自分に合っている」とまでいえないのであれば体系的理解、学説等の深い理解が必要となった際に辞書的に用いるのを超えて使用するほどではないと思われます。

予備試験対策・司法試験対策において

司法試験まで「基本講義 債権各論Ⅰ・Ⅱ」を用いることができてしまうため、こちらにおいても辞書的な役割となってきうる面もありますが、本書には要件事実整理表があるため、瑕疵担保などの論点で攻撃防御構造を理解できるほか、ケースを多用しているため、ケースへの対応力を身に着けることができる点で、契約法分野で司法試験対策にかなり有用な本であるといえます。

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