潮見佳男「プラクティス民法 債権総論」の特徴と評価

潮見佳男「プラクティス民法 債権総論」サムネ

京都大学の潮見佳男教授が執筆された民法・債権総論の基本書。本は厚めで、ケースが多用され、多数のケースを通じ難解な債権総論の基本概念をしっかりと説明していく本となっています。京都大学の債権総論の講義の予習、ロースクールの学部習得内容確認用テキストとして執筆されているようです(本書はしがき)。

同著者の潮見佳男「基本講義 債権各論Ⅰ・Ⅱ」(通称黄色い本)とはかなり異なり、わかりやすさ一辺倒ではなくロースクールで扱う発展的な内容、(勿論判例通説も踏まえた上です。)著者の推す学説等も場面場面で色濃く出ており、学習者を高度な内容理解まで導く本となっています。なお、最近の債権法改正について触れていないので、もし改正されれば本書の内容も大きく異なってくることには注意が必要です。

「プラクティス民法 債権総論」の特徴

初学者には最初は難関、しかしくらいつけば司法試験まで導かれます。

ケースも多く内容も厚めで深い判例・学説理解まで書いてあり、内容的にはやや高度な部分も含まれるため、佐久間毅「民法の基礎」「基本講義 債権各論Ⅰ・Ⅱ」等を用いてきた学習者であれば最初は、厚さに苦しみ、少し難しく感じる本であると思います。

ただ、その分内容の網羅性は高く、司法試験レベルまでしっかりと記述されているため、くらいついて本文と内容理解を助けるケースで訓練していけば大変力がつくように設計されているといってよいでしょう。<債権総論分野での考え方>が順を追って(①②③…のような形)示され、それ頭を整理して、考え方のメソッドを体得できるように配慮がなされており、独学者でもしっかりと内容をつかめるようにできています。

条文理解もしっかりなされており、押さえきれば短答式にも十分に対応できる程度に内容はしっかりしています。京都大学の試験などでは、教科書指定されることが多く、著者の問題意識も知れるため必須の本といえるでしょう。

「プラクティス民法 債権総論」の評価は?

短答式対策において

短答式にも対応可能な内容の充実度です。ただ短答式のみを考えるならばお勧めはできない。この分量をケースとともに押さえきれば短答式試験でもほぼ対応できます。それほどに網羅性も十分な本といえます。ただ、短答式で点数をねらうために読めるほど薄くないので、さくっと知識をさらって短答式のみを見据えるのみならば択一六法などの本にとどめるべきでしょう。

法科大学院入試対策において

本書記載の内容をきちんと理解できる程度ならば債権総論に困ることはほぼないと言ってよいでしょう。ロー入試では要件事実まできちんと押さえる必要まではないですが、債務不履行、履行補助者、債権者代位、詐害行為取消、相殺や債権譲渡等のよく出る論点の要件、効果、それに関連して問題になる点などを本書できちんと学んでおくことができれば、大きく得点につながり得ると思います。

予備試験対策・司法試験対策において

基本的事項、学説、要件事実まできっちりと押さえきってくれる本なので、債権総論は(司法試験向けの問題演習を除けば)これ一冊で十分な内容です。判例、学説、問題意識、発展的内容までしっかり理解できるのであれば、あとはしっかり考えて解くだけであると思います。なお、出版が2012年なのでそれ以降の判例・裁判例は百選、重要判例解説、判例セレクト等で押さえておく方が安心です。

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