佐久間毅「民法の基礎2 物権」の特徴と評価

佐久間毅「民法の基礎2 物権」サムネ

京都大学の佐久間毅教授が執筆された民法・物権の基本書。厚さは普通程度です。本文・発展学習・補論という3つの部分での構成が特徴で、初学者は大きい文字だけ、ゼミ、ロースクール、司法試験対策等では細かい文字までマスターしていけば段階的に基本知識がきちんと身に着くようになっていて、入門から司法試験まで使える教科書となっています。

佐久間毅「民法の基礎1 総則」の続編の物権バージョンという位置付けです。著者自身の見解は補論にのみ示され、判例の理解などバランスの良い記述がなされており、偏っていないのが特徴です。ケースを用い、きちんとケースに対する解答もなされているなど、理屈がわかっても事例問題に対応できないということにならないよう問題に取り組む方法もよく示されている点も「民法の基礎1 総則」と同様に良い点です。

「民法の基礎2 物権」の特徴

「民法の基礎1 総則」同様にわかりやすく読みやすいですが、担保物権がないです。

「民法の基礎1 総則」を読んだ読者がそのわかりやすさ・読みやすさに惹かれたように本書も大きな字と細かい字でどこまで理解しなければならないかが段階的にわかる形になっており、読みやすいのが特徴です。ケースのおかげで問題の解き方もわかり大変使いやすいです。判例について、きちんと押さえてくれるので、判例よりの立論をしたい場合の正当化のプロセスを知ることができるのも本書の大きな特長と言えます。

ただ、欠点としては、本書が取り扱うのは物権編のみですので、担保物権の学習には別の教科書が必要になってしまうことだと思います。セットとして勧められる担保物権のみを取扱う道垣内弘人「担保物権法」は本書と比べると著者の独自説が強く押し出される部分も多く難解なので、上手くはまらないと使いにくいのが難点です。

「民法の基礎2 物権」の評価は?

短答式対策において

物権変動の問題や192条の問題等には向いている。特に択一の物権分野では、判例理解や民法177条の理解や192条の理解が問われる問題も多くそういった面についてはしっかりと基本を押さえることで対応できるのでとても良いと思います。

基本書の中では判例寄りという特徴が生かせる点だと思います。勿論短答プロパーの問題には対応しきれないので(明認方法等細かい点など)別途補う必要がありますが、基本事項の理解には持ってこいのシリーズです。

法科大学院入試対策において

とても良い本としてオススメします。とりわけ法科大学院入試の場合には、大きな文字部分をしっかりマスターできていれば基本事項の理解ができており十分な対応ができるでしょう。とりわけロー入試レベルですと物権分野では民法177条、192条、時効等が頻出ですのでそのあたりを手厚く勉強できれば良いと思います。

予備試験対策・司法試験対策において

本書について、よく使う民法177条や192条、時効の議論に加え、共同所有や添付まできっちりと押さえることができれば、物権をきちんと押さえられるので新しい判例に目を配っておけば予備試験・司法試験にも十分な対策が可能です。ただ独学の際に困るのが、本書を含め物権では物権的請求権の典型的な場面を除いて要件事実を書いた本がない点です。

こういった点はロースクール2年次などで要件事実を学べばよいのですが、そうでない場合には法曹会「紛争類型別の要件事実」などを参考に攻撃防御の構造を把握しておくことも有用だと思います。

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