潮見佳男「基本講義 債権各論ⅠⅡ」の特徴と評価

潮見佳男「基本講義 債権各論ⅠⅡ 第2版」サムネ

京都大学の潮見佳男教授が執筆した民法の基本書。一見薄く見えながらも内容としては必要十分,かつわかりやすいため,入門から予備試験,司法試験まで使用できる良書として京大生の中でも評判が高いシリーズです。本書では著者自身の見解は控え、教科書としての役割に徹しており,偏りなく判例・学説の一般的な記述がなされていて、初学者でもわかりやすく使えるよう工夫されています。

脚注,細かすぎる論点への言及等は少なく,調べものやリサーチに向く本ではありません。また同著者の「プラクティス民法債権総論」ではケースを多用していますが、本書ではケースは用いず債権各論の内容をわかりやすく記述する、説明するということに徹しているといえます。

「基本講義 債権各論ⅠⅡ」の特徴

著者自身が「これが理解できれば司法試験もできる」と豪語できるに足るほど、司法試験対策にとっても必要十分で簡潔な内容です。シリーズを通じてどの項目についても弱点がなく、書きすぎていることもなく、どの分野についても過不足なく、必要な情報がわかりやすく並べられているのが特徴で、この本が使いにくいという人はほとんど聞いたことがないです。

ただ、「債権各論Ⅱ不法行為法」の後半12章以降の差止め、名誉毀損、医療過誤等は司法試験の民法では出てきたことがないので、何度も読み返すべき内容とは思えないところです。

「基本講義 債権各論ⅠⅡ」の評価は?

短答式対策において

あまりおすすめはできません。確かに情報量、判例・基本的な内容の理解には適しているため基本の理解には良いですが、短答式試験の債権各論では、それを超えて売買、委任、寄託等について細かい条文をいかに覚えているかが重要とななります。そのため、より条文理解や択一知識に特化するならば予備校の択一六法のような本の方が随分適しています。

法科大学院入試対策において

法科大学院入試対策には本書がおすすめです。法科大学院入試では、細かい判例知識等ではなく、基本的な内容の理解が問われていることが多いため、本書記載の知識を詰め込み切れていれば、債権各論で大コケすることはなくなるはずです。

司法試験・予備試験対策において

予備試験・司法試験対策にも基本の理解という点で大変適しているといえます。ただ、本書は2012年以降改定されていないので、最新の重要な判例・裁判例等を追いきれておらず、判例の事案等について踏み込んでいません。

そのため、特に判例の事案の理解や近年の判例・裁判例にもフォーカスした問題意識を聞いてくるタイプの問題には対応しきれないといえます。最新の判例等については重要判例解説・判例セレクト等で押さえておく必要があると思われます。

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