内田貴「民法Ⅰ総則・物権総論」の特徴と評価

民法Ⅰ総則・物権総論のサムネ画像です

「民法Ⅰ総則・物権総論」の特徴

内田貴先生は、民法全範囲につき基本書を完成させており、本書はそのうちの総則・物権総論を扱うものです。影響力の大きい基本書であり、他の文献において言及される頻度も高いように思われます。

内田先生の基本書の特徴は、教育的配慮からパンデクテン方式を崩していることにあります。この部分は好みがわかれるところかもしれません。もっとも、本書については、その影響は小さいため、本書を単独で用いるのであればあまり気にならないと思われます。

本書は、判例を元にした多数のケースを含んでおり、事案への適用を見据えて学ぶのに適した基本書だといえます。もっとも、必ずしも要件→効果という思考を辿る記述になっていない部分も多いため、民事実務基礎などを学んでいない初学者にとっては苦しいかもしれません。

また、かなり内田先生の色が出ていることなども踏まえると、上級者向けの基本書だといえるでしょう。分析は鋭く、学修の進んだ人にとっては、得るものの大きい基本書だと考えられます。一通り、民法、民事実務基礎の学修を済ませた人が用いると、多大な威力を発揮するものと思われます。

なお、本書の第4版の出版が2008年と古いので、本書を用いる際には、新たな判例等を自力でフォローする必要があります。

「民法Ⅰ総則・物権総論」の評価は?

短答式対策において

総則・物権総論分野の事項については一通り解説されているので、短答式試験対策としても本書は有益です。もっとも、短答式試験においては、通説・判例を前提に解答をさせることがほとんどだと思われますので、あえて本書を用いる必要性はないと考えられます。

法科大学院入試対策において

簡潔なケースに対して解説を与える形式となっている本書は、法科大学院入試対策として有益な書籍です。本書を読んでおくことで、典型的なケースを想定した学修をすることができるので、事例問題に取り組みやすくなると考えられます。

もっとも、本書を用いる場合には、民事実務科目の学修を並行して行ったほうが安全だと考えられます。本書を読み、新問題研究や、岡口基一「要件事実入門」、大島眞一「完全講義民事裁判実務の基礎」などで、要件事実の勉強を並行して行っておけば、法科大学院入試対策のインプットとしては万全であると考えられます。

司法試験・予備試験対策において

司法試験・予備試験対策においても、本書は有益です。特に、司法試験の論文式試験では、未知の問題がよく出題されます。本書のように、意欲的な著作に触れ、思考力を磨いておくことで、未知の問題を前にした思考力を鍛えることができると考えられます。

他方で、既知の問題につき、事案を分析し、適切に整理する能力も重要です。そのような能力は、他の本で補う方が効率的であると考えられます。本書は、上位合格を狙う人におすすめの書籍だといえるでしょう。

あなたもレビューしませんか?

※先に「継続力」を理解する事が重要です。

難関な試験に合格する為には独学力を鍛えなくてはなりません。

司法試験の独学力.comでは、独学力を構成する「効率力」と「継続力」。特に独学で司法試験に合格する為の必須条件である「継続力」について解説しモチベーション向上を図ります。