高橋宏志「民事訴訟法概論」の特徴と評価

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「民事訴訟法概論」の特徴

本書は、中央大学法務研究科教授の高橋先生の手による民事訴訟法の基本書です。

高橋先生は、実務家や学者の先生方からの信頼も厚く、受験生にとっては「重点講義民事訴訟法」でおなじみの先生です。しかし、「重点講義民事訴訟法」は、上下二分冊の重厚な書籍であったため、その明晰さと信頼性の高さにもかかわらず、やや敷居の高さを感じさせるものであったという難点がありました。

これに対して、本書は、高橋先生のエッセンスを残しつつ、民事訴訟法全体をわずか400頁強で解説しています。説明も非常にわかりやすく、分量的にも重点講義よりも取り組みやすい書籍となっているため、初学者から上級者まで、あらゆる人におすすめできる書籍です。

本書の内容は、「判例・通説の祖述ではなく、現在の私の考えを論じてみよう」とはしがきに述べられているように、高橋先生の見解が詳しめに論じられています。このことからは、判例・通説の解説を求める受験生の目線からすると、やや合わないように思われるかもしれません。

しかし、高橋先生の見解に至るまでに、判例・通説につきとてもわかりやすく、かつ精緻な分析がなされているので、本書の内容は、判例・通説の理解にも資するものとなっています。また、私見と通説が異なる箇所では、「私見は、通説ではない」というように明示的な記述がなされているため、読んでいて混乱をきたすこともないでしょう。

文章は、読者に一緒に考えさせ、理解に導くよう丁寧に書かれている印象を受けます。この文体は好みがわかれるところかもしれませんが、説明はわかりやすいので、読んでいて苦になることはないでしょう。

「民事訴訟法概論」の評価は?

短答式対策において

本書は、初学者から上級者まで、民事訴訟法の幹となる基本書として使用できるものであり、短答式対策においても一定の威力を発揮するでしょう。

もっとも、本書は、通読することを前提に作られているように思われるため、短答プロパーの知識に素早くアクセスするという用途にはやや不向きかもしれません。

総じて、理解を重視している基本書であり、民事訴訟法の基本書を本書のみに絞る場合には、細かい短答の問題について問題演習や判例六法の素読によって対処することが重要になると思われます。

法科大学院入試対策において

極めて向いているといえます。

本書の内容をしっかりと理解することができれば、学部生レベルとしては高水準の理解度だと考えられるため、法科大学院入試の民事訴訟法で苦労することは稀でしょう。

本書は、学生のつまずきやすい部分への配慮もなされているため、法科大学院入試対策としてとても使いやすいと思われます。

司法試験・予備試験対策において

司法試験・予備試験の論文式試験では、考えさせる問題が多く出題されています。

特に、本試験の民事訴訟法では、重要事項や判例の理解度について正面から問われることが多いといえます。

そのため、判例・通説につき精緻な分析がなされており、ときに批判的な視点も提供してくれる本書は、司法試験・予備試験対策としても極めて向いていると考えられます。

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