中野貞一郎「民事裁判入門」の特徴と評価

民事裁判入門のサムネ画像です

「民事裁判入門」の特徴

本書は、司法試験委員を歴任され、現在大阪大学の名誉教授であられる中野貞一郎先生が執筆された民事訴訟法の入門書です。

内容はほとんどが民事訴訟法に関するものではありますが、「民事“裁判”入門」という名前の通り、訴訟法の話にとどまらず、日本の民事裁判制度(訴訟制度はどういう仕組みなのか、法曹三者とは何なのか、裁判以外にどのような紛争解決手段があるのか)や、要件事実、家事審判、人事訴訟まで広く扱っています。

そのため、民事訴訟法の勉強にとどまらず、広く「民事裁判」についての知識をつけることができます。ただし、民事執行・保全法については同著者の「民事執行・保全入門」に譲られています。

本書は、「入門」とある通り、初学者向けの本です。中野先生のような著名な学者が書いた本ということで“お堅い本”というイメージがあるかもしれませんが、本書はびっくりするほど平易な言葉で書かれており、下手な予備校本よりよほど読みやすいものとなっています。これぞまさに名文というものなのでしょう。

ただ、読みやすいだけでなく、判例をベースにしたケースが随所に盛り込まれており、「ケースを前提に問題を解決する」という今の法曹教育のあり方に沿おうとする配慮も見られます。内容としても、しっかり論点や判例にある程度言及しており、初学者だけでなく、中級者でも間違いなく読み応えがあります。

ページ数も370頁程度であり、文章の読みやすさも踏まえれば一日で一気に読んでしまうことも可能なボリュームです。

「民事裁判入門」の評価は?

短答式対策において

短答式試験の対策は過去問演習が最も効果的ではありますが、いきなり過去問をやっても、民事訴訟制度全体の概観がつかめていなければ中々知識が入ってこず、非常に効率の悪い勉強になってしまいかねません。

そのため、まだ民事訴訟制度のイメージがつかめていないのであれば、本書をサラッと1周読んで、イメージをまずつかんだ方が良いかと思われます。

法科大学院入試対策において

本書は各論点や判例について深く解説をするというものではないため、これ1冊だけでは法科大学院入試対策として不十分です。

しかし、逆に論点や判例ばかりを勉強しても、制度全体のイメージを掴めていなければ、答案で高い評価はまず来ません。法科大学院入試の民事訴訟法では、まず「制度をきちんと理解しているか」という基本的な部分を重視しているからです。

そのため、本書で正しいイメージをしっかり持ったうえで、これを前提として論点や判例の学習に移るのが望ましいでしょう。

司法試験・予備試験対策において

このレベルになると、もはや本書は役に立たないのではないかと思われるかもしれません。しかし、本書は学習が進んだ段階で読んでも十分読みごたえがあり(むしろ初学者のときよりも良さに気づきやすい)、かつスラスラと短い時間で読了できます。

そのため、民事訴訟法が苦手な方であれば、一度本書に立ち返ってみる価値は十分にあると思われます。

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