藤田広美「講義 民事訴訟」の特徴と評価

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「講義 民事訴訟」の特徴

本書は裁判官であった著者が法科大学院で学ぶ学生を対象に執筆したものです。民事訴訟の体系書というよりは訴訟手続の概説書としての色彩が強い印象です。本書の構成はPERT1から4までの4部構成であり、PERT1では基本構造として要件事実についての言及がある点が特徴的です。

他の競合書籍(新堂や重点講義など)と比べると、抽象的な論点、実務上争いない論点については軽く触れる程度であり、学術的な深みはありません。しかし実務家登用試験である司法試験では、このような細かな学説の対立を理解するよりも、原理・原則から骨太の論証を心がけるべきなので、本書はその点では司法試験対策に適した基本書といえます。

本書のその他の特徴としては全体の構成が手続の流れを意識して執筆されていること、審理と手続の規範構造を明確にしているところにあります。

漫然と基本書を通読するだけでは民事訴訟の全体像がつかめず、個々の論点や論証については理解したものの、いざ論文試験で出題されると何が争点となっているのかが全く把握できないことがあります。これは訴訟の流れ・実質を意識せず、論点主義的に学習することでよく陥る失敗です。

論点主義的な学習ばかりしている人、民事訴訟の流れ・手続について今一理解できていない人に本書はぴったりといえます。

「講義 民事訴訟」の評価は?

短答式対策において

本書の理論面は前述のように薄いですが、短答で出題されるのは訴訟手続や基本概念が主なので、本書を繰り返し通読すれば短答試験突破のための知識はつきます。もっとも判例についての記載は他の基本書同様、最低限にとどめられているので、別途百選などで判例をつぶしていく必要があります。

法科大学院入試対策において

法科大学院入試では細かな学説の対立や学術的に深い論点は基本的に問われません。初学段階では本書のような平易な基本書で民事訴訟の全体像を把握できれば、大学院入試で必要な知識面は十分まかなえます。

司法試験・予備試験対策において

司法試験では従来より一定の学説に立った場合の帰結や判例の深い理解が問われているので、本書だけでこのような難解な論点を理解するのはやや困難です。重要論点の深い理解のため同著者の「解析民事訴訟」や高橋宏志「重点講義」などで補う必要があります。

もっとも、司法試験でも問われる主な内容は民事訴訟の原理・原則であることに変わりはありません。原理・原則面は本書で、難解な論点・学説については前述の書籍などで補うなど、対策を講じましょう。

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