辰巳法律研究所「法律実務基礎科目ハンドブック1 民事実務基礎」の特徴と評価

法律実務基礎科目ハンドブック1-民事実務基礎のサムネ画像です

「法律実務基礎科目ハンドブック1 民事実務基礎」の特徴

本書は、民事実務・事実認定の予備校本です。

サイズはB5判で見た目は大きいのですが、ページ数は477頁であり、かつ二色刷りで余白も多く、図や表もふんだんに使われているため、実際は見た目ほどボリュームが大きなものではありません。

内容としては第1部で要件事実、第2部で事実認定、第3部で民事執行・民事保全、第4部で法曹倫理、第5部で予備試験口述試験の再現ドキュメント等を扱っています。

このことから分かる通り、本書は民事実務基礎科目で必要な要素を全て一冊に盛り込んだものであるといえます。下手すれば各部それぞれの分野だけで1冊ずつ本を書けるほどのものを、本書1冊でまとめあげてくれているというのは嬉しいところです。

もちろん、ボリュームが少ない分内容が薄いのではないかという不安が生じるかとも思いますが、要件事実は法曹会「新問題研究 要件事実」や司法研修所「紛争類型別の要件事実」よりも網羅率が高く、法曹倫理も必要不可欠な部分についてはきちんと網羅しているため、意外にも本書一冊でそれなりの知識を獲得することは可能といえます。

また、要件事実は暗記が中心となるため、本書のように表で要領よくまとめてくれている予備校本の方が使い心地が良いという面もあるでしょう。

予備試験論文式試験、口述試験当日の会場でも、本書を試験前の最後の確認として利用している人を良く見かけます。これも、試験直前にサラッと確認するうえで本書が使いやすいということを示しているのではないでしょうか。

「法律実務基礎科目ハンドブック1 民事実務基礎」の評価は?

短答式対策において

短答式試験でもしばしば要件事実の問題が出題されます。

問題のレベルからすれば「新問題研究 要件事実」を読んでおけば最低限しのぐことはできるかもしれませんが、より確実に得点したいのであれば本書の第1部・要件事実だけでも読んでおくべきでしょう(第1章だけであれば180頁ほどで済みます)。

法科大学院入試対策において

本来民事実務基礎科目はロースクール入試で学習する分野なのですが、法科大学院入試、特に民法の試験では訴訟物・請求の趣旨・要件事実をきちんと理解していないと解答が難しい問題がしばしば出題されます。

かといって、まだ勉強が十分に進んでいない入試の段階でしっかり民事実務基礎科目を学習することは、コストパフォーマンスの観点からも妥当でないため、やはり本書の第1部・要件事実のところだけ一応サラッと押さえて試験に臨むというのもアリでしょう。

司法試験・予備試験対策において

司法試験でも要件事実の知識が必要となりますが、訴訟物・請求の趣旨・要件事実の知識等は本書を読むだけでそれなりに戦えると思います。

問題は民事実務基礎科目が独立した科目として用意されている予備試験ですが、本書の知識だけではやや心もとないところがあります。

学部生や社会人の方が一から要件事実や民事執行・保全、法曹倫理を学習するのはなかなか骨が折れるものであるため、“最低限戦えるレベル”にもって行くのが目標であれば本書だけで手早く学習をすることもできます(手早く学習できるのが本書の最大の強みです)。

しかし、論文試験の実務基礎科目で高得点を狙いたい方であれば、本書だけでなく大島眞一「完全講義 民事裁判実務の基礎〈上巻〉」まで押さえておくべきでしょう。

予備試験の口述試験となると、より本書だけでは心もとないことになります(年々問われる知識が難しくなっている傾向にあるため)。そのため、口述試験に臨むのであれば、上述の大島先生の本や、和田先生の「基礎からわかる民事執行法・民事保全法」まで押さえておくべきでしょう。

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