司法試験突破!試験別に行政法の勉強法ポイント解説

行政法とは?

行政法という名前の法律はなく、行政に関する法律の総称です。行政事件手続法や行政事件訴訟法がよく使われる法律ですが、その他にも実に沢山の法律が行政法というくくりで語ることができます。行政法は、旧司法試験では問われておらず、新司法試験つまり現行の司法試験になって初めて問われた科目です。それゆえ、苦手な人が多いですが、実際には、極めて初歩的な試験が行われる法律です。

予備試験、法科大学院、司法試験において行政法が問われる場面

行政法は、司法試験予備試験においては、論文式試験だけではなく、短答式試験でも問われます。もっとも、実務基礎科目では行政法は問われませんし、口述式試験でも行政法は試験範囲とはなっていません。

行政法は刑事訴訟法、民事訴訟法等とともに、下4法に位置づけられます。法科大学院では、国立で聞かれることが多い科目であるといえます。司法試験本試験においては、下4法全ての短答式試験がなくなりましたので、論文式試験でのみ問われます。憲法と一緒に公法系科目の第2問という形で問われることになります。

司法試験を突破!行政法の勉強法:総論

行政法は、基本的な法律7科目の中でも特殊性の高い科目といえます。いわゆる、論点といった点は非常に少なく、一方で、扱う法律の数は圧倒的に多いです。行政法という法律が存在しないことからも分かるように、ある種のカテゴリーの法律は全て広い意味で行政法に分類されますので、扱う法律の数が非常に多くなるのです。

行政法については、法律を駆使する基本的な能力が必要になります。すなわち、初見であっても関係しそうな条文を拾い、その条文の趣旨を考えて、事例をあてはめていく、という法律家にとっての基本的な能力が必要になります。

短答式試験については、判例の事案が聞かれることが殆どで、判例の知識を正確に理解していることが問われます。

論文式試験では、いわゆる論点に関する問題が出ることもありますが、それだけで完結する問題は出題されず、そこに書いてある初見の法律を読んで、問題文の事例があてはまるのかどうかについて論じていく、ということが求められます。

司法試験本試験も予備試験も、問題のレベルは大きくは変わりません。本試験では、弁護士事務所での問答において論点は明確になっていますが、その論点に関するより深い検討を求められます。一方の予備試験では、行政法についてのより基本的な理解が求められる問題が出題されます。

勉強時間という観点からいえば、憲法と同じくらい短い時間で合格レベルに到達することができるのが行政法であるといえます。旧司法試験の過去問は行政法についてはないので、予備試験と本試験の過去問を解いておけば試験対策としては十分です。

短答式試験対策における行政法の勉強法

行政法の短答式試験は、範囲となる法律は数多いものの、判例の理解が正確にできていれば解ける問題が殆どです。試験対策としては、司法試験本試験の短答式の過去問と予備試験の短答式の過去問を解いておけば15年分は確保できるので十分であるといえます。

頻出の訴えの利益や原告適格といった点については判例が充実している分野でもあるので、事案ごとに違う点についても詳細に理解しておく必要がありますが、そうした頻出論点以外については判例の結論と理由付けについて簡単に覚えておけば足りることが殆どです。

論文式試験対策における行政法の勉強法

行政法の論文式試験は、そのほかの法律科目と異なり、独特です。具体的には、あまり馴染みのない法律が引用されており、それについてその場で考えて駆使できるかどうか、というのが問われている、といえます。

例えば、河川法などの馴染みのない法律にもとづき、行政庁が取消処分などの行政処分を行い、その効力について争う際、原告側ではどのような主張を行うか、といった事項について論じていくことになります。

こうした未知の事項の場合、その場で条文を読んで、要件を検討し、その法律の目的、条文の趣旨を考えて、要件該当性について判断していく、という作業を行います。これはまさに法律実務家の作業であり、法律家としての基礎的な能力が備わっているかどうかを試されているといえます。

訴えの利益や原告適格、処分理由の付記など、典型的な論点は、問題に織り込まれていますが、それだけを知って理解していても解けるような問題ではなく、本質的な法律解釈能力、事案分析能力が必要となる試験です。

しかし、難易度は他の法律科目の試験よりも大幅に下がっているといえます。知らなくても解ける問題が出題される、ということですので、基本的な論点をおさえて、法律の考え方の枠組みを理解していれば解ける問題ということです。

勉強法としては、予備試験と司法試験本試験の過去問はすべてくまなく解いておくべきです。予備試験は本試験よりも事案が単純ですが、行政法を駆使する勉強には最適の内容ですので、司法試験本試験を受験する方であっても、確実にといておくべきといえます。

旧司法試験がない分、行政法は、他の6科目に比べて過去問の学習が不足しがちになります。そうしたときには、法科大学院の入試問題や、国家総合職の論述式問題が似た問題として役に立ちます。予備校が作成した問題よりも、学者や立法担当者が作成した問題の方がクオリティが高いので、こうした問題を解いておくことをおすすめいたします。

勉強量は、憲法と同じく、書き方や考え方のコツさえつかんでしまえばかなり少なくて済む科目といえます。行政法や憲法を早く合格レベルまで引き上げ、民法や民事訴訟法など、理解や暗記に時間のかかる科目に自分の勉強時間を振り向けていくことが肝心です。