平成27年度東京大学法科大学院入試 民事系のポイント解説

東大_27_民事系のサムネ画像です

1.形式

民事系論文科目では設問⑴⑵の2問が出題され、設問⑴では実体法、設問⑵では手続法から出題されています。

問題はコンパクトな事例問題ですが、2問で解答時間は70分と非常に短いため、時間切れに注意を要します。

2.解答の大枠

設問⑴では、「どのような請求ができるか。」という形式の問題で、民法上の請求か、会社法上の請求かについては限定がありません。本問では、民法上の請求と、会社法上の請求が考えられます。実際の事件と同様に、実体法上の請求として多角的な検討を要求されている本問は、実務家登用試験ということを強く意識するものといえます。

設問⑵は民事訴訟法の分野からの出題です。設問⑵は、詐害的事業譲渡の事案という特殊性を踏まえたうえで、譲渡会社に対する確定判決の執行力が譲受会社に及ぶかという点について検討することが求められます。

3.論点

設問⑴について

設問⑴における、被害者の譲受会社に対する請求に関するアプローチとしては、①法人格否認の法理、債権侵害または共同不法行為に基づく損害賠償請求といった構成と、②会社法23条の2に基づく請求という構成が考えられます。

法人格否認の法理に基づく不法行為責任の追及を検討する場合、本問が濫用事例であることを指摘したうえで、支配要件と目的要件について検討し、債権侵害に基づく構成の場合、争いのある債権侵害の要件について検討したうえで、それぞれ民法709条の要件を端的に当てはめすることになります。

共同不法行為という構成の場合、民法719条の要件を検討することになります。その際には、関連共同性について触れる必要があります。

会社法23条の2に基づく構成の場合、「害すること」といった要件は、民法424条とパラレルの要件なので、その意味を明らかにしたうえで、当てはめをすることが必要です。

設問⑵について

設問⑵は、法人格否認の法理が適用されると考えた場合に、譲受会社を譲渡会社と同一視して、譲渡会社の確定判決を債務名義として、譲受会社に対する執行文付与を受けることができるかを検討する必要があります。

ここでは、法人格否認の法理を執行文付与の場面では主張できないとした判例(最判昭53.9.14)があるので、判例の考えを踏まえた論述が望ましいでしょう。

4.総評

小問⑴は、民事実体法の理解を多角的に問うものであり、良問です。もっとも、会社法23条の2は、平成26年度改正会社法の知識のため、難しい問題といえます。

小問⑵は、法人格否認の法理という実体法上の権利義務に関する問題について、訴訟手続上においてどのように考えるべきかを問うものであり、そこでは民事訴訟法の基本的な原則である手続の明確性や安定性などを考えさせる基本的な問題といえます。

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