平成28年度神戸大学法科大学院入試、会社法のポイント解説

神戸_28年_会社法のサムネ画像です

形式

A会社の業務一切を取り仕切っているBと取引をしたDが、印刷代金500万円をまったく回収できなかった事例についての問題です。責任追及の相手方として、登記がされていないが、A会社の業務一切を取り仕切っているB、および、退任したが退任登記が未了の状態にある者の二者が設定されています。

解答の大枠

BとCへの請求を分けて検討すべきと思われます。Dが直接に印刷代金として500万円を請求するためには、会社法429条の責任を追及することになると考えられます。なぜなら、Dは、A会社の業務一切を取り仕切っているBと取引した、会社から独立した第三者、といえるからです。

請求可否を検討するにあたり、429条の要件を挙げて、一つずつ検討することが必要と思われます。その際、判例の考え方に触れながら、解答することが要求されている考えられます。

論点

429条の責任の要件は、条文から素直に認定すべきでしょう。Bは、A会社の取締役でもなく、登記もされていないため、「役員等」にあたるのかが問題となりそうです。たしかに形式的には役員ではありませんが、それで責任を回避できるとするのは不合理です。Bに責任追及するためには、外観法理により追及することが考えられます。

Cは、既に退任しているため、「役員」にはあたりません。しかし、この役員を信頼して取引している相手方を保護すべき要請もあります。そこで908条2項類推適用で第三者を保護することができないかを検討することができそうです。

909条2項は、会社が不実の登記をした場合の規定であるため、会社が不実登記をしたわけではない本問の事例では、直接適用することはできないでしょう。そうはいっても、退任した取締役が退任登記を自ら申請することもできません。そこで、取締役としての登記が退任後も残存することを明示的に承諾していたというような、特段の事情がある場合には、908条2項の「役員」として責任を負うと考えることもできそうです。

そして、BやCに責任追及するためには、どういう任務が課せられ、どう任務懈怠があったのかを丁寧に認定することが必要ではないかと思われます。

総評

本問は、損害を被った第三者を保護するために、BやCに責任追及することが考えられるが、その方法、理論を問うものであるといえます。典型的な事例ではありますが、検討すべき項目を1つずつ丁寧にあげて、本問の特殊事情を踏まえ、認定していくことが必要であったと思われます。これらの論点には、判例学説があるため、それを意識した答案が求められたものであったと考えられます。

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