平成28年度京都大学法科大学院入試、民事訴訟法のポイント解説

形式

本年度の京都大学法科大学院入試の民事訴訟法は極短い事例に対し、3つの小問が問われています。出題形式としては旧司法試験や予備試験に似たものとなり、これらを解けば同時に京大ローの試験対策にも役に立つでしょう。

解答の大枠

問1はXが給付訴訟を提起した後、Yが確認の訴えを提起した場合のYの訴えの適法性が問われています。本問はYの訴えが重複起訴として禁止されないかが問われており、事件の同一性について骨太の論証をすることが問われています。

問2はYの本問陳述の有する訴訟上の意義を問うものです。右陳述はXの主張する請求原因事実と両立し、権利の存在を否定するものなので抗弁に位置づけられます。

問3ではYは第一回口頭弁論期日では本件売買契約締結の事実を認めていたところ、第二回期日ではYではなくZが本件売買契約を締結したとして、主張を違えています。ここでは第一回期日での主張について自白が成立するか、第二回期日の主張が自白の撤回として認められるかが争点となります。

論点

問1について

問1では重複起訴の禁止に当たらないかが問題となります。事件の同一性が認められる場合には重複起訴として訴えは認められません。

この点、通説は事件の同一性を①当事者の同一性、②狭義の事件の同一性(訴訟物の同一性)を基準に判断します。本件では①当事者は共にXYであり、②訴訟物はともに売買契約に基づく売買代金債務です。したがって事件の同一性が認められる事から、Yの本問訴えは重複起訴の禁止に反し、違法です。

問2について

問2のYの陳述は前述のように同時履行の抗弁に位置づけられます。請求原因において双務契約であることが明らかであるので、甲の引渡しまで支払を拒絶するとの権利主張をすれば足ります(権利抗弁)。

ここで右陳述では「売買代金500万円」の存在を認めていることから500万円の存在について裁判上の自白が成立するのではないかと思う受験生もいるかもしれませんが、本問の自白は請求の当否を判断する前提となる権利・法律関係を認めたものであり、権利自白に過ぎません。裁判上の自白と権利自白を間違えないようにしましょう。

問3について

問3のYの第一回期日の主張前半はXY間の売買契約締結の事実を認めるものであり、裁判上の自白となります。そして第二回期日のYの主張はXY間の売買契約締結の事実と反するものであり、訴訟上、自白の撤回と位置づけられます。

主要事実について自白が成立すると相手方は証明を要しないと信頼することから、自白の撤回は厳格な要件のもとに制限されています。具体的には①相手方の同意がある場合、②反真実かつ錯誤に基づく自白である場合、③刑事上罰すべき他人の行為により自白した場合です。本問ではこれらの場合に当たるかを軽く検討すれば足りるでしょう。

総評

総じて基本事項からの出題であり、法科大学院入試としては標準的な難易度であると思います。京大ロー入試対策のためには、同大の過去問だけでなく、出題形式の似た旧司法試験・予備試験の問題を解くことも有益でしょう。

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